元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
悪いお姫様の物語

 ファンタジーやないんやで。
実在、歴史上のお姫様たちの物語。
 前に読んだ城の本と話が被っている所もあり、より一層実情が知れた感じです。

 前置きからこの著者さんは今の少女たちがただ煌びやかなドレスや宝石を付けて、丁重に敬われるべきと考える『プリンセス(になりたい)病』は憂うべき事態と考えておられるようで、お姫様はそんな座って微笑んでりゃ済む世界じゃない!と一喝。…わぁ、幼女に厳しい。
 そりゃこの考えをハイティーンくらいでも持ってるならヤバいですけど、小さい女の子は許してやってよ…。(世間からの植え付け が、女の子を形作り、王子様を待つだけ、選ばれて当然と考えるようになるのがダメらしいです。この『選ばれる』って思想ですね。フェミニスト的な話かしら。)

 所がこの本のお姫様たちは受け身どころか、自分から時に男どもを(自分の子供まで)利用、抹殺して権力を握った方々です。
まぁ最初から権力闘争のための駒として使われたり、或いは下級身分からのし上がるために体を使って愛人から始めたりと、そうなってもおかしくないかと言う話もあります。
 ただ、浪費だの浮気だのの話も当然多く、こう言うのは男女問わず反感買うわなぁ。
無理やり結婚させられた点を考慮しても夫以外、被らない様に一人にしとけと。
 あとは拷問や残虐な逸話も、意外と多いんですけど、こう言うのは後世に『女が生意気』とか都合の悪い本の書き手や作り手に針小棒大、中には無かった事まで書かれている可能性が高いらしいです。へぇ、なるほどなぁ。(美醜についても幾分大げさにね。)
 事実、彼女たちが残した偉業などの痕跡を消されたり、墓に刻まれなかったりと差別はあったようで。
 しかしこれ読んでると古今東西、王家はどこもかしこも血生臭いな。
あと恋愛ゴシップ多すぎ。

 お話としては出来すぎたくらいに、男装の姫とか、プリンセスだと嘯いていた詐欺師だとか、興味深い話もたくさん載っていました。
気になる姫君を、調べてみるのも面白いかも。
城と宮殿でたどる!名門家の悲劇の顚末

 なかなか凄いテーマの本だと思いつつ、こう言うのも伝記になるらしいよ。
まず建物ありきで、そこの持ち主が、そんな立派なものを建てて、その後どうなったかと言う話。
タイトル通りに悲劇ばっかり集めた本だけどね。
 ノイシュバンシュタイン城とか、世界で一番きれいだと思うんですけど、実情が結構えげつないのね…。
聞いていてこのバカ城主!と思いました。
うん、血生臭くないのだけましだけど。

 血生臭い編は本当に呪いの城で、おまけに数が多い。
まぁ権力集まる所、暗殺、拷問、陥れ合いのるつぼだもんなぁ…。
 たまーに巻き込まれ型の人が居て可哀想です。
 ずっと女城主ばかりの城とか、そう言う話も聞いていて面白かった。

 城と言えば外面しか見ないけど、こうして成り立ちとか聞くと、イメージ崩れる半分、本当の城の意味を知らされたようで見解が広がるな。
モーツァルトのむくみ

 あー、モーツァルトってむくみで死んだんだっけ?
と言う、歴史上の人物の死因(詳細的に病名)を探る本。
 探ると言うのが良くないですか?
そう言われている、とか当時の病理学で下された内容をそのまま語るのではなく、残された文献から現在の知識を持って判定し直し、『こんな病気、怪我、死因のはず!』とするわけです。
わぁ、なんかワクワク。(死んだ話ですけどね。)
 この他、ファラオだとかジャンヌダルクとか、有名どころどっさり。
死ぬまでの流れや逸話も書いてくれていて、死因だけじゃなく、生きている間の推測出来る限りの『様子』を知らせてくれます。
ナイチンゲールって…そうなの??コロンブスなんて性的な事まで検分されちゃってまぁ…。
エピソード的には新鮮でした。
 かなり詳細なエピソードが惜しげもなくぽろっと出て来るので、伝記としてもなかなかの一冊です。

 さて、総じて面白く読めるのですが、少し解りづらいと感じたのは章の最初にこれが誰の話かと言う事を明記しない事。
若干主語が省略されているのか、躓きがちになる事。
 文章の途中、半分以上過ぎてから、いきなりテーマの人物の名前がサラッと使われて、紹介スルーな部分がもやっとしたなぁ…。
たまたまじゃなくて意図時に全員分そうなってるわけです。
 多分、『これだーれだ?』的なもんだろうと思うけど、いや、経歴当て本じゃないだろうに。目次にすら書かないとか、お国柄な感性の違いだろうか。
平安女子の楽しい!生活

 なんとなくぼけーっと読みたくて手にしてみたものの…あら、何と言うか、想像と違って結構異色??
平安時代の簡単紹介本かと思いきや、もっと砕けていた。
 なんせ出て来る口調や歌はほとんど原文など載せず超口語訳で推し進めるし、雅が一転、今の女子たちと言動の変わらない平安女子たちに、イメージが崩れる…いや、親近感がわく一冊だな。

 でもねー、読んでると何してくれてるの、男ども!と思えるシーンばっかりで、無性に男どもに腹が立った。(苦笑)
物語の中の事とは言え、作者が実在の女性らで、また日記(いわくブログ)だから、そりゃ男たちの事を悪くも書くんだろうけど、一夫多妻制の頃だから、浮気の話とそれで悔しい思いをしている女性たちの話に共感しちゃってしちゃって…。
 あと、こう言う風に日記(とは言え公開作品)を書くくらいのインテリ女子かつそこそこの身分の子女たちに対する世間の風当たりとか。(キャリアウーマンは辛かろうて、時代が時代だから良い様に思われない様で。)
 あー…古典嫌いだったけど、ここまで裏の意味を超口語訳で今風に流されると、コロッと共感しちゃったわ。
いとおかしだの雅だの、教科書で習うお綺麗な文章や歌は、教材にしか思えないもんね。

 そう思わされたらこの本の思うツボです。
この本、元々そういう風に身近な平安時代を―って言うのが狙いみたいで、また見事に…引っかかりましたよ。
 一番衝撃的だったのは、そうか、あの日記系は事実もあるけどフィクションもあるんだろう程度の認識だったけど、自分の自慢や、夫の浮気、その他今の時代のブログですらそんな何でも載せたり、嘘記事書かないよ!と言う平安女子のずれ方がインパクトなんだよなぁ…。
 まぁ今みたいな伝達速度もなく、炎上もしませんけど、間接的で時間のかかる炎上は…ないはずもないゴシップブログだよね?平安の日記作品系って。
―まぁ源氏とかの物語系よりはよっぽど親しみを感じました。
 さらに平安時代のファッションや恋文のやり取り、これを説明と言うよりは『どれがイケていてどれがダメか』目線での紹介で、本当に…今風で面白い一冊でしたね。
 古典が身近に、代わりに俗っぽすぎて、イメージ総崩れになるかもしれない一冊。
天狗よ!

 小説なのか何なのか悩んだけど、解説本でした。
またもの凄い量の考察。
 ただ一つ、天狗を知るためにその軸どころか、それが発生した時代の流れを汲み、何故どのようにして天狗は生まれどんな風に活躍し、語り継がれていくのか―。
 そのすべての過程で理由付けされた説を提示しており、もはやこの構築にどれだけ傍流の知識が根底にあるかと思うと果てしない。
 例えば今のイメージに近い山伏との混同で、天狗の女性と言う存在は消された、とか(ああ、昔って女天狗が普通にいたんだ?)驕り高ぶる僧たちのイメージが天狗に傲慢と言う罪を擦り付けた、とか…。
(仏法に関わり合う者同士、僧との対決話は良くあるが、当時の僧たちがかなりの傲慢ぶりで、自然それと遣り合う天狗も同等あるいはそれ以上の強気で語られ、より傲慢とのイメージが沁みついた。ほほう、天狗って昔は『鼻高々』のイメージなかったのか。)
むしろ登場期は弱い存在であり、他の妖怪共々、やり込められるばかりであったらしい。
元々はこの字の意味合いも星だしなぁ…。吉凶の関係かな?

 さて、天狗には八大天狗と言うものがあり、それぞれ山を治めているのですが、場所が大体西日本なのはこれ、何故なんでしょうね?
時代的に東が開発され切っていないから…話にも入らなかったのかな。

 この本は妖怪としての天狗を、人間の思考回路、行動、時代の流れから読み解き、『人間が生み出した「天狗」』と考えるよりは『「人間」が生み出した天狗』と言う風にとらえたものに思えます。
 天狗と言う虚構の魅力に近づきすぎて、悪い意味ではなく現実を見せつけられたかなぁ。
妖怪、天狗の綺麗な舞台が見たかったんです。でもそれを映写機で映し出す舞台裏の方を見ちゃいました。的な。
 オカルト本ではない、歴史本と言うカテゴリーに認定したいと思います。