元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
教科書では学べない世界史のディープな人々

 まぁ基本に忠実な教科書の中身すら、ろくに覚えちゃいないですけどね。
 で、ガンガン読んでいくわけですが、最初に微妙な変型サイズ本と文字のレイアウトだったのが読み辛さを感じさせてくれる。
何だろう??視線が動かし辛いなぁ。
こんな内容と関係ない所で疲れてる場合じゃないわ。

 さて中身。
ディープ…ではあるけど、チョイスと言うか、このタイトルに入れて並べると、どうしても比べざる得ない『教科書』と言うワード。
 名前と簡単な経歴だけで進むが故に『圧倒的な数』の人物の掲載がある教科書。それと張るには掲載する人数が、あまりにも不足すぎてお話にならない―と思えちゃうんですよね。
 勿論このタイトルはそこを対比させてるわけでないんですけど、なんか如何にも『教科書では学べない有名人のディープな話』とか『歴史を蔭で動かした人の話』とか、勘違いされて期待されそうなタイトルじゃありません?
 『教科書』を逆手に取るタイトルはキャッチャーかもしれませんが、これ、詰まる所『そんなに有名でない人たち』の話という事です。

 ではどれくらい『深く狭く』か、と言えば確かにそうなんですが、恐らくだからと言って一人一冊書くには圧倒的に量が足りず、何人かまとめようにもテーマが一致せず…正直この寄せ集め感が『雑学本』のジャンルを匂わせます。
 これ、毎回毎回の歴史コラム寄せ集め、とかならまだ分かるんですが、多分書下ろし(?)と思うんですよね。
何と言うか、最初からこの形を完成系として組んだのなら、一冊の本としては帯に短しタスキに長し感が…。
 内容が悪いと言うわけではありません。
ただ上記のような理由で、非常に中途半端な読み物なのです。
 私的には、さらっとした雑学本も好きだし、とことん型の伝記、歴史本もドラマティックで好きだし。
その中間は…うーん、不完全燃焼感が出てきちゃうかな。
物凄い個人的な合う合わないの話なんで、下らないとかそういうわけじゃないんだけども。
 一番いいのは、大まかに書いてるんで気になった人が居たら細かく調べてみるといいよ、と言うガイド本扱いかな。

 一人一人の人生は、これだけ人の一生を波乱万丈に高密度で紹介するのだから、何かしら興味深いものばかりです。
ただし、他の本でも読んだようなそれなりに名の知れた人も居れば、逆に歴史の狭間に埋もれていそうな人も居るので、特にこれが世間的に言う所の歴史の勉強になるかと言わばまぁ蛇足も良い所でしょう。
 完全に趣味でその時代が気になるとか、世界の文化の昔を知りたいとか、そう言う興味を『こういう人が居ました』の中に解を求めたい人向けの一冊。
悪いお姫様の物語

 ファンタジーやないんやで。
実在、歴史上のお姫様たちの物語。
 前に読んだ城の本と話が被っている所もあり、より一層実情が知れた感じです。

 前置きからこの著者さんは今の少女たちがただ煌びやかなドレスや宝石を付けて、丁重に敬われるべきと考える『プリンセス(になりたい)病』は憂うべき事態と考えておられるようで、お姫様はそんな座って微笑んでりゃ済む世界じゃない!と一喝。…わぁ、幼女に厳しい。
 そりゃこの考えをハイティーンくらいでも持ってるならヤバいですけど、小さい女の子は許してやってよ…。(世間からの植え付け が、女の子を形作り、王子様を待つだけ、選ばれて当然と考えるようになるのがダメらしいです。この『選ばれる』って思想ですね。フェミニスト的な話かしら。)

 所がこの本のお姫様たちは受け身どころか、自分から時に男どもを(自分の子供まで)利用、抹殺して権力を握った方々です。
まぁ最初から権力闘争のための駒として使われたり、或いは下級身分からのし上がるために体を使って愛人から始めたりと、そうなってもおかしくないかと言う話もあります。
 ただ、浪費だの浮気だのの話も当然多く、こう言うのは男女問わず反感買うわなぁ。
無理やり結婚させられた点を考慮しても夫以外、被らない様に一人にしとけと。
 あとは拷問や残虐な逸話も、意外と多いんですけど、こう言うのは後世に『女が生意気』とか都合の悪い本の書き手や作り手に針小棒大、中には無かった事まで書かれている可能性が高いらしいです。へぇ、なるほどなぁ。(美醜についても幾分大げさにね。)
 事実、彼女たちが残した偉業などの痕跡を消されたり、墓に刻まれなかったりと差別はあったようで。
 しかしこれ読んでると古今東西、王家はどこもかしこも血生臭いな。
あと恋愛ゴシップ多すぎ。

 お話としては出来すぎたくらいに、男装の姫とか、プリンセスだと嘯いていた詐欺師だとか、興味深い話もたくさん載っていました。
気になる姫君を、調べてみるのも面白いかも。
城と宮殿でたどる!名門家の悲劇の顚末

 なかなか凄いテーマの本だと思いつつ、こう言うのも伝記になるらしいよ。
まず建物ありきで、そこの持ち主が、そんな立派なものを建てて、その後どうなったかと言う話。
タイトル通りに悲劇ばっかり集めた本だけどね。
 ノイシュバンシュタイン城とか、世界で一番きれいだと思うんですけど、実情が結構えげつないのね…。
聞いていてこのバカ城主!と思いました。
うん、血生臭くないのだけましだけど。

 血生臭い編は本当に呪いの城で、おまけに数が多い。
まぁ権力集まる所、暗殺、拷問、陥れ合いのるつぼだもんなぁ…。
 たまーに巻き込まれ型の人が居て可哀想です。
 ずっと女城主ばかりの城とか、そう言う話も聞いていて面白かった。

 城と言えば外面しか見ないけど、こうして成り立ちとか聞くと、イメージ崩れる半分、本当の城の意味を知らされたようで見解が広がるな。
モーツァルトのむくみ

 あー、モーツァルトってむくみで死んだんだっけ?
と言う、歴史上の人物の死因(詳細的に病名)を探る本。
 探ると言うのが良くないですか?
そう言われている、とか当時の病理学で下された内容をそのまま語るのではなく、残された文献から現在の知識を持って判定し直し、『こんな病気、怪我、死因のはず!』とするわけです。
わぁ、なんかワクワク。(死んだ話ですけどね。)
 この他、ファラオだとかジャンヌダルクとか、有名どころどっさり。
死ぬまでの流れや逸話も書いてくれていて、死因だけじゃなく、生きている間の推測出来る限りの『様子』を知らせてくれます。
ナイチンゲールって…そうなの??コロンブスなんて性的な事まで検分されちゃってまぁ…。
エピソード的には新鮮でした。
 かなり詳細なエピソードが惜しげもなくぽろっと出て来るので、伝記としてもなかなかの一冊です。

 さて、総じて面白く読めるのですが、少し解りづらいと感じたのは章の最初にこれが誰の話かと言う事を明記しない事。
若干主語が省略されているのか、躓きがちになる事。
 文章の途中、半分以上過ぎてから、いきなりテーマの人物の名前がサラッと使われて、紹介スルーな部分がもやっとしたなぁ…。
たまたまじゃなくて意図時に全員分そうなってるわけです。
 多分、『これだーれだ?』的なもんだろうと思うけど、いや、経歴当て本じゃないだろうに。目次にすら書かないとか、お国柄な感性の違いだろうか。
平安女子の楽しい!生活

 なんとなくぼけーっと読みたくて手にしてみたものの…あら、何と言うか、想像と違って結構異色??
平安時代の簡単紹介本かと思いきや、もっと砕けていた。
 なんせ出て来る口調や歌はほとんど原文など載せず超口語訳で推し進めるし、雅が一転、今の女子たちと言動の変わらない平安女子たちに、イメージが崩れる…いや、親近感がわく一冊だな。

 でもねー、読んでると何してくれてるの、男ども!と思えるシーンばっかりで、無性に男どもに腹が立った。(苦笑)
物語の中の事とは言え、作者が実在の女性らで、また日記(いわくブログ)だから、そりゃ男たちの事を悪くも書くんだろうけど、一夫多妻制の頃だから、浮気の話とそれで悔しい思いをしている女性たちの話に共感しちゃってしちゃって…。
 あと、こう言う風に日記(とは言え公開作品)を書くくらいのインテリ女子かつそこそこの身分の子女たちに対する世間の風当たりとか。(キャリアウーマンは辛かろうて、時代が時代だから良い様に思われない様で。)
 あー…古典嫌いだったけど、ここまで裏の意味を超口語訳で今風に流されると、コロッと共感しちゃったわ。
いとおかしだの雅だの、教科書で習うお綺麗な文章や歌は、教材にしか思えないもんね。

 そう思わされたらこの本の思うツボです。
この本、元々そういう風に身近な平安時代を―って言うのが狙いみたいで、また見事に…引っかかりましたよ。
 一番衝撃的だったのは、そうか、あの日記系は事実もあるけどフィクションもあるんだろう程度の認識だったけど、自分の自慢や、夫の浮気、その他今の時代のブログですらそんな何でも載せたり、嘘記事書かないよ!と言う平安女子のずれ方がインパクトなんだよなぁ…。
 まぁ今みたいな伝達速度もなく、炎上もしませんけど、間接的で時間のかかる炎上は…ないはずもないゴシップブログだよね?平安の日記作品系って。
―まぁ源氏とかの物語系よりはよっぽど親しみを感じました。
 さらに平安時代のファッションや恋文のやり取り、これを説明と言うよりは『どれがイケていてどれがダメか』目線での紹介で、本当に…今風で面白い一冊でしたね。
 古典が身近に、代わりに俗っぽすぎて、イメージ総崩れになるかもしれない一冊。