元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
日本って、大変!?「国際」的な高校の青春事件簿

 日本語の授業的なエッセイを思い出した…。
 この本自体も、生徒は高校生ですが、日本語を教える先生の面白い、また文化の相違を感じられる外国文化の子供たちとのエピソード集です。
まぁ、昨今ありがちなテーマで、ネットでもよく見る話です。

 ただ、日本語を知らない人に日本語を、『日本語以外の言語で』説明出来なきゃ日本語は教えられませんと言う当たり前のジレンマが、よーく解りました。
 語り手である先生(著者)は、日本語を深く理解しようとする段階で、どうしても英語もペラペラにならなければいけないと言う外から見れば笑える(本人当惑の)状況で生きています。
 逆も然りで、生徒たちも苦労します。
母国語以外を覚える、教わる、教えるって、大変な事なんだなぁと感じました。
 …大体日本人ですら日本語を正しくなんて教えられないもんね。グラマー始め謙譲だの丁寧だの、怪しいもんだよ。

 あとは文化の違いで、『貴重品』と言う概念をイコールお金だと思っているのは日本人だけで、他は貴金属(お金などただの紙きれであり、国が無くなれば意味がない物質に過ぎない)だの、親の形見だの、水だの、自分が大事にしている何かだの…成程、説明しづらい、そしてそれを選んだ子等に、否定も出来ない秀逸なエピソードだなぁと。
 もう一つ、本の感想文で短く『死』について書く子に手抜きじゃないかと疑って探りを入れてみると、その子の国は殺し合いだらけの国で、そこにいる誰よりもその子が一番死を身近に体験していた事が解ったとか、あるいは国の教育によって感想文すら『世間が喜ぶ答え』で書き上げてしまう子達がいるとか。(その国の子等は皆が同じ内容の感想文を、示し合わせてもいないのに上げて来る。)
 その子たちは、感想文と言うものが『自分の』感想だと言う概念自体がなかったようで、国家単位での思想教育の成果を見せつけられ、著者さんは怖かったそうです。
 ここら辺はただ単に面白おかしく語ればいいと言う異文化エピソードエッセイとかとは違い、ちょっとドキッとするエピソードで読み応えがありました。
老後破産

 まぁ、このテーマですから…暗いですね。
何と言うか良い事が一つもなく老後苦しんでいる人たちの体験話ばかりなので、正直ダウナーな本。
 貯金してればいいのか?金の価値も変わります。
家族が居れば大丈夫なのか?先立たれたらどうにもなりません―。
不確定要素しかないね。

 これが現実だと言われて、目を逸らしたいわけではありません。それならば最初からこの手の本を読む事もないでしょう。
ただ、ではその最悪の未来に救いの手は、そして今から出来る対策などはないのか、それを求めて読んでみたのですが、残念ながらこの本にはその手の手段は何も書かれていません。
 がっかりしました。興味があるが故に、全のために何をすればいいのか、一のために何か手段があるのか。それを強く求めていたのに。
 この本は何のバイアスもかけていない単なる人々の体験記ルポだと思います。
警鐘を鳴らしてくれるのは良いのですが、私たちに何を求めているのでしょうか?このテーマの本なら、解決策はなくとも、せめて何がこうさせたのか、またどこが問題なのかと少なくとも敵の正体だけでも示唆してくれているものかと思いましたが…。
 読後、呆然としてだけ終わりました。
 例えテーマが立派なものでも、問題提起だけで終られると、投げっぱなしな印象しか残らないんだよね…。
紳士の言い逃れ

 なかなか惹き付けてくれるタイトル。
何となく手に取ったエッセイなんだけど、本の説明が『いろんな言い訳エッセイ』と言った感じに書いてあって、そこを楽しみに読んでみたら…言い訳??と言うよりいい加減、と言った風味かなぁと言う一冊です。
一休さんみたいなとんちオチの言い訳話術かと思ってたよ。
 まぁおおげさな冗談ありきで、本当に日常を書き連ねる『エッセイ』。
続くと冗長気味なんだけど、のんびり読みましょう。
マスラオ礼賛

 ヤマザキマリさん。
彼女が好きな古今東西の男たちを紹介するエッセイ集。
 例えば彼女はスティーブ・ジョブズの伝記漫画を描いていて、それは途中巻まで読んだ事があるんだけど、そのジョブズの事も書いてありました。
あの漫画読むと、ジョブズってちょっと…とモヤモヤするんだけど、この人、基本的にダメ男が愛の対象なのね。
 何と言うか生活能力のない男。それをマンマミーア!の精神で魅力を感じる様です。
ああ、確かにこの人の描く男性って、何かしらそう言うのが滲み出てるよね…上手く説明出来ないけど。

 この本、列挙された人の中に『ノッポさん』とか『マルコ(母を訪ねて…の)』、果ては『トム(とジェリーの)』まであって、なかなか独特の、世界に開かれた感覚の持ち主なんだなぁと言う思いで読みました。
十代の学生時代から海外一人旅とか、ほんま開かれ過ぎな生き方…。(なお、彼女の祖父の事も書かれている。)

 少しは絵も見られるかしらと思ったけど、基本的に人りづつのワンショットのみでした。
コミックエッセイ風のイラストがもう少しあると良かったなぁ。絶対このテーマとあの人の絵は、合うもの。
みんなの死にかた

 続いてやはり有名人の亡くなり方。
いやぁ、『伝記』で検索かけたらこの手の本がやたら多くて、そう言うジャンルがあるんだぁ…と面白くなっちゃったもんで。

 こちらは海外ではなく、すべて日本の主に芸能人やら作家やら。
死因ではなく、晩年の『亡くなり方』かな。
亡くなった時の状況や、むしろその前の当人の環境や、死に際しての立ち居振る舞い。看取られたのか、孤独死だったのか、死を予感していたのか、事故だったのか。
 正直これを読んでいると、普段どれだけカッコいい事を言っていても、死を目前にした時の狼狽えっぷりや取り乱し方のギャップが激しい人がおり、ちょっともやっとする。(おかしくないし、自分なんかもっとダメだろうけどさ。)
 うーん、こういうのは好感度に寄るよね。有名人なら特にイメージ商売になっちゃうし、憎まれ役かと思えば、本気で晩年は家族に縁切られてたりとか聞くと、うわぁってなっちゃう。
 逆にスパッとしてる人は…意外と高齢の女性なんかが多かったな。
 あと、故人を語る時の残された人々の視点が結構皆バラバラな事。十人十色の故人があったのだなぁと、死に対する真相(死因以外の胸の内)はますます藪の中に、ってのもあります。

 割と辛辣に書いていたり、逆に持ち上げ気味に書いていたりもあるんだけど、何が可哀想で何が立派で何が正解なのか、一人一人の臨終までの物語に、きっぱりと色のついた感想は抱きにくいです。
 『死んだら皆仏』とか『死人に鞭を打つな』とかの話なのかなぁ…この考え方、個人的には納得してないんだけど、同調圧力とは別の部分で口を噤んじゃう所はあるわ。
 その紹介数も多いんだけど、どれもこれも生々しいエピソードだらけなので、読んだ後はちょっと死ぬのが怖くなる。そんな本。