海の話をもうひとつ。
現実的ではないが、私は磯の香りが嫌いと言うものの他に、もうひとつ海に対してよろしくない感情を抱いている。
海が、怖い。
と言ってもそれは普通の海ではない。
例えば沖合いの海の波。舟から見下ろす波は、ねっとりとした油のように重たげにうねって、その底に得体の知れないものを潜めている。
吸い込まれそうで、絡め取られそうで、もしあそこに体を浸したら、見えない水面の底から、巨大な何かに足を食いちぎられそうだ。
海を恐れない人たち。
視覚で生きている人間が、どうして自分で確認の出来ない得体の知れない空間に、無防備に体を晒していられるのかが不思議になる。
そして、何よりも恐ろしいのは夜の海である。
真っ暗な海。
ゴンゴンと打ち付ける海鳴りの音、ビュウビュウと唸る風の音だけが頭の中に響く。
海の水が油のように重たげに見えたのは、その夜の海を体験してからだから。
ああ、海には妖怪がいる、魔物がいると察しました。
夜の海を経験するのは、いつでも大勢の人間と一緒ですが、私は人と共にいてあれほど恐怖感を感じる事は他にはありません。
だから、夜の海へ行く事があっても、波打ち際には近づかないでおこう。沖合いの遠くを、ぼんやりと眺めないようにしよう。きっと私は呑み込まれる。きっと私は海に呼ばれる。
私の海へ対する恐怖感は、表面上取り乱すようなタイプのものではないけれど、私は心の中で魔物に隙を見せないよう、ギュッと奥歯を噛み締めている。怖いが故に、海を睨みつけている…。

↑私は海が好きならワンクリック♪
現実的ではないが、私は磯の香りが嫌いと言うものの他に、もうひとつ海に対してよろしくない感情を抱いている。
海が、怖い。
と言ってもそれは普通の海ではない。
例えば沖合いの海の波。舟から見下ろす波は、ねっとりとした油のように重たげにうねって、その底に得体の知れないものを潜めている。
吸い込まれそうで、絡め取られそうで、もしあそこに体を浸したら、見えない水面の底から、巨大な何かに足を食いちぎられそうだ。
海を恐れない人たち。
視覚で生きている人間が、どうして自分で確認の出来ない得体の知れない空間に、無防備に体を晒していられるのかが不思議になる。
そして、何よりも恐ろしいのは夜の海である。
真っ暗な海。
ゴンゴンと打ち付ける海鳴りの音、ビュウビュウと唸る風の音だけが頭の中に響く。
海の水が油のように重たげに見えたのは、その夜の海を体験してからだから。
ああ、海には妖怪がいる、魔物がいると察しました。
夜の海を経験するのは、いつでも大勢の人間と一緒ですが、私は人と共にいてあれほど恐怖感を感じる事は他にはありません。
だから、夜の海へ行く事があっても、波打ち際には近づかないでおこう。沖合いの遠くを、ぼんやりと眺めないようにしよう。きっと私は呑み込まれる。きっと私は海に呼ばれる。
私の海へ対する恐怖感は、表面上取り乱すようなタイプのものではないけれど、私は心の中で魔物に隙を見せないよう、ギュッと奥歯を噛み締めている。怖いが故に、海を睨みつけている…。

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