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元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
奴隷船の歴史

 奴隷船の絵って、見た事あるかもしれませんが、あれです。こう、人間が上下互い違いで並べて寝かされて、天井は低いわ寝返りはうてないわのすし詰め状態で『運搬』されている、あの船の内部を描いた図。
 あれ見た時、閉所恐怖症とかに絶対なりそう…とゾーッとしたものですが、他にも何やら想像をはるかに超える実態がありそうなのです。

 まず第一に驚いたのが、実際黒人は奴隷にされていたが、そもそも黒人同士で奴隷を作り(浚い)、他国に黒人奴隷を送り出すのも、同じ黒人が『商品』として売っていたのね。完全ビジネスだったんだ…。
(ぼんやりと傍若無人に白人が攻め込んでいって黒人を捕まえてきたイメージでした。)
 黒人って、部族にたくさん分かれているから、違う部族を戦いで打ち負かしたら、それを自分たちの奴隷として扱い、時に外国に売っていたわけだ。
 なんかそう考えると売った方も売られた方も黒人として一括りにした時、自分たちの習慣のせいで『黒人奴隷』と言うイメージを作っちゃった一端も担ってそうだよなぁ…。
 だってどちらの部族側も戦って負けた方は奴隷にして当たり前と言うスタンスだもの。自分が勝った時は良くて、いざ奴隷にされる側になると…。そりゃ勿論買う側にも問題はあるが、そもそも国内の黒人同士の奴隷文化はどう解消したんだろうね??

 だがしかし、本の中の記録には、『祖国で奴隷をしてる方がマシ』とか『自分の村で何かをやらかして村人から奴隷扱いされる方がマシ』とか言う感想も。
(いや、同村、同じ部族の中でも格付け厳しいのかよ。)
 まぁ確かに、言葉も通じない異国の地での奴隷より、扱いは酷いけど言葉も分かるし、周囲に一応仲間がいる故郷の地での奴隷の方が孤独や疎外感は少なかろうて。
 この小さい頃に売られた少年の話だと、(部族同士で言葉も違うが)『それでもまだ奴隷船の中までは僕の言葉をわかる人が居た』と異国の地での奴隷生活が近づくにつれ、彼がみるみる絶望していく様子が綴られていました。
 そう、この本、ものすごい数の人々の手記のようなものがまとめられていて、いろんないきさつや人生、それは勿論奴隷側然り、船員、船長、奴隷商人側然りの当時の生々しい声がたくさん綴られている本なんです。
 船員側も復路で奴隷の見張り役が必要なくなると契約違えてそこで解雇(てか追い出す)、祖国へも連れ帰らないとか、船長も反乱されて殺されるとか。そして無事に帰っても長旅で体がボロボロ、足の一本や二本、本当に無くなってます。

 もうね、奴隷船の中での黒人の反乱だとか、見せしめの処刑だとか、その後どうなったとか、人間が生きている分だけ人生があるの見本の様な中身。
1テーマでよくこれだけいろんな人間の人生を集めた。
 圧倒される恐怖や戸惑い、憎しみや悲しみ。
資料集めも然る事ながら、臨場感たっぷりに本として書き出した功績は大きいと思います。
 読み応えのある(そして分厚い)一冊です。
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