元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
家族幻想 「ひきこもり」から問う

 引きこもり要素は自分も二つの点で持ち合わせていると思う。
体調不良なんかでベッドの中で過ごしている時期、全然苦にも思わず冬眠ライフをこなしていた事。
もう一つが、ある日いきなり、儘ならず外へ出られなくなる。そんなビジョンが割と鮮明に思い浮かべる事が出来るくらいには心の中の危うさが自覚出来ている事。

 引きこもりではまず『外に出たくても出れない』、自分で行動をコントロール出来ないと言う点が何よりも問題になってきます。(となると出ようと思えば出れる人が引き籠もるのは単にインドア派と言う事なんだろうか?外との接点を欲しないと言うか。)
この本に出てくるのは別に開き直って、或いは好きで引き籠もっているわけでなく、社会に出たい、あるいは出なくてはと望む人たちの話です。
 解るなぁ…。外との関わりが煩わしく逃げたいと思う反面、離れすぎても不安になる。望む距離感の二反律が同時に自分の中にあって、身動き取れなくなる感じ。
そして現実問題としての生活資金の問題からも逃れられません。

 筆者が長年取材を続けている人たちは、読んでいると苦しくなるくらいに、真面目で、融通が利かず、常識や社会の枠に囚われている人たちです。社会との接点に対する希求も持ち合わせ―いや、恐らくこれがむしろ平均以上に強いため、ギャップに苦しんでいるように思えます。怒りも毒も、求めるが故に比例して噴出し、発散、表現出来る方法自体も絞られてくる。(とある医者は『出来る事が少なくなっていく病』と評します。)
それと同時に、引き籠もっている自分を誰よりも恥ずかしいと思っているのが自分、と言う人たちです。
 自分が許せない。これもある意味プライドの話なんでしょうが、自分自身の期待を裏切る自分、或いは他者に迷惑をかける申し訳なさ。引きこもりの人は多かれ少なかれ、この思いも抱えていると思います。
 ある意味人はどこかで鈍感にならなきゃ流せないものってあると思う。

 筆者の分析が深く、かつ個人的な思い入れがあるようで、時に上滑りや場合によっては芝居がかって聞こえる時もあるのだけど、それだけ取材対象に本気で付き合ってきたんだと解ります。
 こういう良いも悪いも、近くも遠くも、バランスの取れてない意見こそ、生々しい現場感があるんだよね。ルポライターとしてはいただけないんだろうけど、真剣さは伝わってくる。
それでも分かり合えずに取材相手とトラブルになったり、その流れも含めて、『ひきこもり』を分析しようとしている姿勢はこの本の中の全編に渡っていると思う。
 ただ単純にこの本の中に出てくる各個人の事だと、普通に性格的にどうよ…とかその考え方は…と文句も出て来ますし、全面的養護が出来るかと言われれば出来ません。明日は我が身と言う問題であっても、いや、だからこそなのか、前述の様に『自分を責める自分』と言う枠がある以上、叱咤の思いは必ず出て来るでしょう。そう思われる事の苦しさを理解しつつも、簡単に容認出来ないのです。
 カウンセラーは理解をしても共感してはいけないと言う話を思い出しました。私は同じ所で溺れる側の人間だわ。
まさしく同一に陥りながら『考えさせられる本』です。(なお『どうすれば問題が解消されるか』を著者が訪ねて回った時、それは難しい、となったのが推して知るべし。)
 
 他、親側の話、或いは親がいなくなったら、女性の引き籠もり等テーマ別に章が続きます。
個人的に割と躓く種はそこら辺に転がっていると思う、怖い問題だと思います。
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック