元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
カルト村で生まれました。

 正直言って閉鎖されたコミュニティと言うのはもはや別の国の文化に感じるもので、外から見ているとその違いが怖い。
人は違いを恐れるか憧れるかだと思うけど、この本で書かれた生活の中に、羨ましいと感じるものは一切なく、ただただ恐れを抱いた。
 作中に何の宗教だとか、宗教面での描写はないんだけど、作者が子供たちだけでまとめられて育てられて世話係に『教育』されて生活している部分は、何もかも怖いとしか感じなかった。お金のない世界、財産は共有とかで育てられると、人のものも平気で盗っちゃったりとかあったようで、そうとしか教えられていなかった本人に罪はなくとも、外でつまはじきに合うのは当然だし…。
 いつでもお腹が空いていてとか、親とも特別な時しか会えずとか、精神的・肉体的両方の虐待描写も溢れていて。
作者は19歳で外へ出たようだけど、今でもどこかずれた感覚(権利の主張があんまりないとか、不便さを受け入れてしまいがちとか、常識が欠けていたりとか)は長く続くし、もしかしたら人格形成されてしまっているかもしれない。
 何より作者は自分の人生をごく自然に受け入れているように見えた。これを不満を言わない素直な人と取るか、今だ本当にあの生活がおかしかったと本気で思っていないと取るかは難しい所。(何が普通かと言う基準はあいまいですが。)
表面であの生活が外と異なる部分をきちんと捉えて描いてはいるけど、絵柄や作風から淡々と、ほのぼのとしすぎていて、そこも逆に不安を掻き立てるのです。
 一方作者の夫さんは、「洗脳はなかったと言うけど、洗脳が認識されてないだけかもよ?」と冷静に見た上で、彼女を受け入れているフラットな感覚の持ち主のご様子。是非彼女の良いパートナーとしてご夫婦幸せにいっていただきたい。

 今作者が何をあのコミュニティに思うのか、それをさしはさむとテーマがずれるのかもしれませんが、あくまでもこの本は『たまたま』変わった場所で育ったと言うふわっとした少女時代のコミックエッセイ他ならないと思えました。
カルトについてどうのこうの言う本ではありません。(もう少し掘り下げた続編があるらしい。)
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