元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
病気の魔女と薬の魔女

 たくさんの魔女が集まり、踊り明かすワルプルギスの夜―。
そんな魔女の世界観が好きで、ドイツ留学まで果たしたと言う感染系の学問を学んだ女性が著者。
 これが面白いのは、ウィルスやワクチンや、そういうものが魔女となり、その振る舞いや戦い方でお話が進んでいき、物語の中で病気に付いて知る事が出来る作りなのね。
作家じゃないけど、好きな事で語る作品を作りましたと言うやつ。
 これって、文章力さえ普通にあれば、面白い事が多い。人間、好きな事を語っている時ほど魅力的だもんなぁ~。
 病気の魔女は病気を引き起こす、薬の魔女はそれを治す、この二大勢力で話が進みます。
 中でもやっぱり病気の魔女のキャラ立ちはためになる知識を秘めている。
ペストならどう感染するように魔法を仕込むとか、使い魔(動物の媒体)はこれ、とか―。
 病気と言う敵の正体や感染経路を覚えられますね。
新しいものではサーズとかも出てきます。
 一方薬の魔女はそれに対応するワクチン類なのですが、これもまぁどう作るとか、どこに働きかけるとかあるんですが、こっちは自分が作るわけでもないからそこまで脳裏には残らないかな。

 ストーリー的には病気の魔女が、薬が発展してきて、追いやられた病気を懐かしみ、ここらで一花咲かせようぜ的に一致団結して恐ろしい病気を作り出そうとする。(現実に則しているから、有りもしない謎の病気でなく、こういう病原体も現れるであろう的な発想の病気。)
 主人公である薬の魔女のひよっ子ローズは、諸先輩方に薬の作り方を学んでどうにか皆でこの危機を乗り越えようとする。
所が、媒体から最初に感染したのはローズの親友クラリスで―。
ローズはショックを受けながらも生ワクチンを手に入れるため、クラリスの基へ。
 そこでクラリスの発病を利用してワクチンを作ると言う辛い展開かと思いきや、何だ、ワクチンのためのサンプル取る時、一緒に病原体全部吸い取るのか。これでクラリス完治。
 そこから大量にワクチンを作るのですが、この作業が現実に則しているようで、何万個の鶏の卵を休みなくひっくり返し、病原体を入れ、抽出と言う気の遠くなる様な作業を見ました。
転卵…手でやるとか地獄作業ね。
 こう言う地味な作業でローズは病気の魔女に勝てるワクチンを作り出す事が出来たのです。
 しかしお話はまだ続きます。逆恨みした病気の魔女がローズを殺そうと…。
 この件で、薬の魔女どころか、矜持を持つ病気の魔女でもローズをかばうと言うあたり、魔女が魔女の仕事をするのは使命と言う、道は違えど魔女としては同じと言う展開は良かった。
 病気の魔女側も、ただ人間が苦しむ姿がどうのと言う描写もありながら、存在意義があって、労われる事すらあると言う事も。
単に薬の魔女VS病気の魔女と言う団体戦にしなかったのはいいな。

 どうもシリーズ物の様なのですが、とりあえずこの一巻で本を置きます。綺麗に終わってるし。
 ユニークで試験的な作品だと思いました。
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