元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
雨降りだからミステリーでも勉強しよう

 1950~60年代の欧米のミステリー作品を紹介してくれる本で…ものすごく細かい。翻訳もする人の様ですので、当然原書で読んで、面白いのを日本に紹介…と言う部分もあるようなのですが、それにしては凄まじい量を読んでいる気が…。
 またあっさりと面白くないものは面白くない、この本はこれくらい途中で放置、その本は○ヶ月くらい取り組んでいる、あの本は何回読んだけど全然解らんとか―いやいやいや、文句言いつつ最後まで捨てないし読みこなすのね。
 しかも文章がまるで古くない。これ、1972年刊行なんですけど、てっきり最近の物だと思って読んでた。
これは凄いわ。
 1、2作目がダメでも3作目で化けたとか、作品解説もするだけあって、目を通している幅が広く、その上での批評なので、貶す所も褒める所も完全に自分の物にしてから言葉にしている。
 その上で上記の様に解らんものは解らんと正直なもんで、個人的好みもあろうが自信もって本の良し悪し、点数を付ける。
…ここまで徹底されると、他の意見は出にくかろうなぁ…。
 映画や音楽にも造詣が深く、その豊かな知識の中でとにかく彼の中で比較対象や事例もびしっと把握しているから、あれに似てるこれに似てる、これと比べるならあの作品、点数はこうだけど、そう言えばあの作品と言えば参考になるこんな話が合って…と、大体の章は入れ子細工の様に余談(これまた批評に必要な前知識だったり、別作品の説明だったり)で埋まっている。

 何よりも圧倒されるのはそのあらすじの量。
いや、もうダイジェストでラストまでと言ってもいいくらいに、その作品のあらすじを書いてくれていて、ネタバレ云々と言うより、『あ、そこまで内容ばらして(ほとんど書き切っちゃって)いいんだ…』と呆気にとられます。
まぁ、説明しなきゃ批評も出来ないんだけどさ。
 本人も『この本、あらすじ書いても面白さはそんな所にないんだけど』とか『自分の作品のプロットでもないのに書かなきゃ説明出来ないから数時間もかけて書くんだけど』とか、とにかく批評に対しての下準備が丁寧なのね。
 おかげであらすじを聞いても意味が解らない(味は別の所にある作品)とかあらすじだけでラストまで聞いちゃった(この流れに意味がある作品)とかたくさんあって、情報過多で時に疲れが出る本です。
 へぇ、こんな本があるんだなぁと言う流れになれば上出来なわけですが、果たしてこの本、勉強…と言えば欧米ミステリーの全体的なあらましも語られてますし、本来はその意味の方が強いのかなぁ?
本の紹介本…と銘打ちながら、まるで歴史書の様だもの。(『勉強しよう』、と偽りなし。)
 逆にあっさりと出だしとまとめだけの数行あらすじで紹介された本の方に読みたいと思えるものがいくつも。
やはりその先を知りたい気持ちをくすぐられる紹介が一番かな。
 それでも筆運びやセリフなど、あらすじに関係ない部分を見所として挙げられていると、色んな好みに対応して答えてくれるガイドブックだなと思います。
 ただ実際ニッチすぎて、いくつかメモしたものの、その作品が日本語訳で収録されている本を探し当てる自信はありません。そもそも日本に…渡っている作品なのかすら怪しい…。
まぁ、圧巻の本でした。
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