元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
風が強く吹いている

 え、やだ、面白い。(予想通り)
耳に残るし実際有名どころだし、三浦しをんだし。
外れがないとは思っていたけど本当、面白いわ。
 これもまた私が全く興味のない駅伝の話。
 陸上に曰くある主人公が、同じくかつて陸上をしていた男に拾われ、ボロ長屋に住まうのだけど、長屋住人全員巻き込んで、男は駅伝に出ようと言い出す―。
 この二人以外は完全素人で、そこからの引っ張り具合やトレーニング、なんともじわじわと走りの魅力が浸透して行くのが、素人たちを鍛え上げその気にさせていく過程で読者をも連れて行くのです。
 三浦しをんは未知の世界をこうも魅力的に書ける才能が凄いよね。
そのジャンルの面白い所や、細かい所を、これでもかと上手く見せる。

 さて、駅伝ですが。マラソンと違うのですって。…すいません、違いが判りません。
主人公の青年の、かつてのケンカ別れした陸上部の仲間たち(ハイキューみたいだったわ)、お前の走りが必要だと言いながらも、決して無理な走りや速さだけを求めない謎がありそうな男。(陸上経験者で故障で…と言う感じだね。)
 他の8人もまぁ個性的で、留年しまくりの先輩や、そっくりの双子、足が速くない黒人だとか、漫画オタク―。
走りそうにないのに、これが行けるんだねぇ。山道登校していた者には坂道の区間を、周囲をものともしない我が道を行くオタクには一番周囲に飲み込まれやすい区間を―とか。
 ちらっと出ている、スポーツのために呼ばれている黒人留学生とは違う、単なる勉強で来ている留学生なのに、黒人と言うだけで速くて当たり前、反則みたいなずるい存在と言う扱いを受ける件は、成程なぁと思った。
強いものをわざわざ集めて―ってちょっと反感買う部分があるシステムだけど、それですらないのに黒人と言うだけの『強くて当たり前』と言う逆差別、偏見もあるのだなぁ、と。
 これにちょっとした恋愛模様も絡めつつ(こっちはヒロインに対してどうして恋愛感情持つのかもやっとした展開なんだけど)、箱根を、頂上を目指して物語は疾走します。

 いや、スポ根物にしては地味なんだけど、地味が故の内省的な戦いが見所のお話です。
良本。
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