元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
古書の来歴

 本好きにとってはちょっとワクワクするタイトルです。

 古い本の修復家である女性博士が主人公で、何が面白いってその本を調べる主人公自身の話と、実際にその本に何が起こったのかを辿る過去編が交互に語られ、物凄くドラマチック!
 例えば付いていたはずの銀の留め金が無くなっている。
その時代にこの本を手にした者が盗んで、イヤリングに変えてしまった。
ページの隅に塩の結晶が付いている。
それは岩塩ではなく海の塩。この本は海を渡った?
はたまた昆虫の羽。
ある高度以上の山にしかいない虫―。
 こうして、その本に残る色々な傷や状態を、現在の調査力を以って突き詰めていくのです。

 それらは相当なところまで判明するのですが、では実際、この本に何が起こっていたのか―?
 通常解らぬ部分を、読者は実際のその事件が起きた時代にまで遡り、そこで何があったか、各時代の主人公で視点を変えて、知る事が出来るのです。これは…気持ち良い!
 その本は宗教的に糾弾の時代を生き延びた聖典のようなもので、盗まれ、守られ、焼かれそうになったり、時には人の血を吸う事も―。ちょうどヴェネツィアの辺りの話や、地動説の宗教裁判の話になった時には、それぞれ別の本で時代背景や事件をある程度読んでいたので、かなりの臨場感で読めました。
 本が知識となり、また他の本を理解するための糧となる経験も楽しめた部分です。

 この本にはたくさんの視点が存在しますが、当時の時代を生きた主人公たちは、常に生死をかけてこの本に携わっています。
宗教的な異端者とされ故郷を追われ、過酷で数奇な運命をたどる女たちや、利己的に強かに権力を奪い合う男たち。
本は全てを見てきました。
 そして主人公はその本の修復にのめり込み、自らの運命をも揺さぶられます。
彼女の母親、師や恋人とらの確執や裏切りや、また最後に明かされる真実―。

 どのページも緊張感に満ちた、時代を追う作品です。
映画化とかしたら面白そう。
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