元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
山をはしる

 山伏で、山岳写真を撮っていて、本も書いちゃう…って、どれだけ私の理想の生活やら。
 ものすっごく共感と言うか、羨ましいと言うか、この本は山伏の大変さが解る本なんですが、それと同時に「そう、それなんだよね!」と随所に個人的な相槌を入れまくらざるえない、私の魂に添う内容でした。
 山を駆け下りる時の獣の様な、風の様な感覚とか、山の中のトランス状態とか、或いは畏怖の感覚―私が見ている山はこの人の知る山とは深さどころか表面でしかないのだけど、それですらあの感覚が指でなぞるように解るんです。
 修行したいとか、人のためだとか、そう言う風に感じた事などないですが、山に立ち入り、少しでもこれらの一端を感じた事のある人なら、ぶわっと即時追体験出来るような…そんな文章がずっと続きます。
とにかく山を行く描写は飽きない。
 自分は疲れずして体験させてもらって有難うと言う体験記。
 自分が体が丈夫で体力があって、根性があって時間があるなら、普通に登山趣味を持っていると思うので、山伏は永遠に憧れですわぁ。
 まぁ逆にこれを読んで、全く山伏の足元にも及ばない山との触れ合い方だと確信するだけですが。

 と、個人的な山リスペクトは置いておいて、普通与り知る事のない山伏の生活がどんなものかを克明に書き下ろした珍しい資料だと思います。
形は完全に体験記ですが、それ故に他にはない資料になる。
 山伏を学術的に語る本はあれど、実際に体験して、山行の詳細や、どれだけしんどいか、何が楽しみとなるのか。また山を下りれば待っている一般人としての生活とか、リアルな現在の山伏の生活。
所謂山伏のイメージ以外の部分が、人間的であるほど、そのギャップに不思議さと納得が同居した、奇妙な感覚を覚えます。

 本を書く人って言うのは、やっぱりその気質を持ってないと書かないわけで、有名人の自伝なんかよくゴーストライターが代わりに書くじゃないですか。
それを思えば、『普通本なんて書かないだろう』と思われる職業の人たちの体験記って、貴重な事この上ない。
 改めてもう一度、山を行けない自分に、鳥瞰図の様な素敵な山行を有難うと言いたい本。目を借りるような感覚で楽しめた。
登山家とは違うんだよなぁ、やっぱり。山を走るってあの高揚感。
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