元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
ワーキング・プア

 さて、少しばかり日本の問題に手を出していましたが、今回はアメリカ。
翻訳物なので少しばかりの読みづらさは覚悟の上、おいおい、手に取ってみると分厚い、字細かい、二段組みと言う3強本でした。…読むか。

 中身は思ったよりは読み易く、文章の流れは馴染まないものの、言っている内容はすんなり入る。
訴訟が溢れかえる国で、ちょっとそれが垣間見える程、彼の国は罠がいっぱい。
 手続き上の知識の差が、ひょいと貧富の差を生み出す。
知るものは泳ぎ抜くが、知らぬものはどんどんと絞り取られる構造の様です。
 例えば確定申告を自分でして、書類に抜かりがあったせいで数年経ってからとんでもない追加徴税を請求される。そのため、安くはない金を払って税理士を頼み、なんとかそれを免れる―。
 イメージもありますが、何かにつけ、あちらは『差』『幅』が大きい気がしますね。
貧富、教育、マイノリティ…富める者は富み、貧する者は貧する―。
 仕事に関しても、知らぬが故に上手く立ち回れず、そういった人が負債を被せられ貧困に落ちて行く。
 資本主義の弱肉強食と言えばそれまでですが、ただ一生懸命働いているだけでは、特別運を持っていないと決して浮かぶ瀬がないのが実情の様です。
複雑な社会程、ルールを知り尽くした者が立ち回りやすい、その分ハイリスクハイリターンの社会なのかと。
 単純に、では学べと思いますが、そもそもの教育と言うスタート地点さえ差があると言えばありますからね。
移民系の生活の話もちょこちょこ出てきますが、人種差別も然り。
 そしてカード社会故、負債を持つ事によって手持ちのカードの価値が下がる模様。(新しく仕切り直そうとカードを使おうとしても、当然負債があるとカードが使用出来なくなる。)
 まぁルール側から言うと当たり前の話なんですが、貧困のスパイラルの抜け出し方が難しいのですね。

 しかし中には、「別に贅沢は言わない。一回の給料で一回の家賃が全部払えればそれでいい」と言う人たちも居て、ここで本質的な言葉が出て来る。
『富める国で貧しいのは、貧しい国で貧しいのと違う』、と。
…あぁ…なるほどなぁ。
 それを考えると貧しい国の貧困を考えるのと、成り立ちもアプローチの仕方も違うわけなんだね。
 どちらの国の貧困がより問題かと言われれば難しいのだけど、周囲に上手くやっている連中が居る中での自分だけ感は辛いだろうな。
 そして周囲どころか家庭の中、親世代も子供たちの教育が、時間をかけて新たな富に変わる事が理解出来ず、「うちの子はタクシードライバーになるのに、学校の勉強が何故必要なんだ?」となるような話も。
 今と言う瞬間のお金だけを考えたり、自分の周りの職業だけしか見なかったりと、その視野も結局は親世代が子供の頃受けていた教育の中で得た物だけとなる場合が圧倒的に多い。視野と知識を広める事が自分の生きる世界をも変えると言う可能性が、貧困の連鎖で止められてしまうのですね。
 他の本でもここら辺は読んだなぁ…やはり格差と言われるものの影響は多大です。
 そしてドラッグの問題と、アメリカにはいろんな種類の闇が潜んでいます。
ピンからキリまでの多様性が大きい国だと、問題の数も増えるものなのね…。

 この問題に対処法を論じる本と言うよりは、何が原因かを具体例をみせてはっきり突き付ける、ここまでをしっかり描いた本だと思います。
理解ありき、です。
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