元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
朽ちていった命

 原発の臨界事故で命を亡くされた作業員の方の詳細記録。
施設の事故とかでなく手作業時の事故で、作業員の方3人が被爆と言うものです。
 その内の一人の方の入院中の処置や体の具合、ご本人の様子などを事細かに記録されているのですが、当時世界でもこういった例が30件あるかないか、しかも存命期間が最高で9日間と言った中での手探りの医療チームの戦い、ご本人と家族の強さなどでタイトル通りの日数を生きてこられたんですね…。
この前置きだけで、そんなに長く―といった感想を持ちました。
 何も知らなければ3か月も持たないのかと言う思いを持ちがちなのですが、とんでもない。被爆の恐ろしさは筆舌に尽くしがたい病状であり、なによりもご本人の精神力がよくぞそこまで持ったと言う感じです。
 被爆数日は、まるで患者でもないかのように明るく元気にふるまっていた方が、酷くなる一方の病状と痛み、確信のない処置に絶望を抱くまで、やるせない気持ちを抱かざる得ません。
 遺伝子レベルでの破壊で、もう二度と細胞が再生しないと言う正しく死を待つしかない中で、この日数はある意味驚異的なのでしょう。
怪我をしなくても、新陳代謝だけで皮膚が剥がれ落ちていき、内臓もやられ…。

 医療に力がないとか、ありすぎて不自然な長寿だとか、どちらの意見もある所でしょうが、現場の人間はただただ目の前の患者を救いたくて、その気持ちに感情をぶつける事など、出来ません。
また原発においても、最悪の事態を孕む機関ではありますが、日々エネルギーの恩恵を贅沢に受ける人間としてはただただ複雑な思いをもつしかありません。
この本ではそう言った思想的な事を片方に立ってどうこう語る事は一切ありませんでした。
 そんな事を声高に叫ばなくても、考えずにはおられない一人の人間と、周囲の人々の壮絶な記録。それがこの本です。
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