元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
皇帝フリードリッヒ二世の生涯 上

 ―おもしろい。
驚きました。
 先日から厚い本に挑んでは集中力の欠いただらけ読書を続けていたのですが、こちらもそれなりの厚さと密度に怯みつつ頁をめくれば…あっという間に引き込まれたのです。
これで上巻?
 恐らく自分の生涯すらそんな分量は書けないだろうに、歴史に残された記録からよくぞこんなドラマティックな物語(フィクションではないわけですが)を書けるものです。
 臨場感と言うか、単なる事実を書くだけでない、人間や運命の道筋を、こんなに鮮やかに書けるものなのか。
 恐らくはこの伝記の主人公である皇帝の生き様も凄いのでしょうけど、著者による力が圧倒的なんだと思います。

 いや、しかしこの文体と言うか、雰囲気…私、どこかで読んだ事あるよね?
―と思い調べたら、この人か!
ヴェネツィア物語』。
 異常なまでの知識と掘り下げ、表現の仕方に覚えがあったけど、なるほどなぁ…。
とんでもない博識の人でした。
 この基礎がありき、物語(風)だとまさしくはまる様です。
ちょっと出てきたヴェネツィアの歴史の本もあるようで、そっちにも興味が湧いてきました。

 さて、この皇帝ですが。
正直、初めて知る名前の上、何の興味もありません。
 では何故この本を手に取ったかと言うと、好んで読む作家さんが薦めていたからです。
恐らくフィーリング的に間違いなさそうだったので、何の興味もない歴史上の人物の伝記を手に取ってみたわけですが、それなのに面白くて惹きこまれたって相当なものかと。
 宗教ありきの中世の時代に、ざっくばらんなリアリスト的精神と、その思考。行動力。
法王や諸侯を相手に快進撃を連発するこの皇帝のなんと魅力的な事か。この皇帝、自分の部下に異教徒までガンガン組み込んじゃいますし、相手国の言語は重要と5か国語を操り、知恵を使い交渉のみで無血戦争も成してしまう。
 振り返ってみれば英雄だったと言うよりは、生まれからして英雄にならざる得ない血統ですから、重圧に耐えかねる脱落者も多くあろう中、常に英雄であり続けたと言うのは相当な器の持ち主だと思います。
 実際彼の息子なんかは、凡人どころか罪人に落ちた挙句の自殺で人生終了ですし…。(しかも父よりも先に死亡。)

 また彼の政策に交えて、当時の国の形がよく説明されています。
宗教や人種の違い、国がそれをどう扱い、どんな思惑で同盟や戦争を仕掛けたか―。

 漫画の題材になりそうなほどエピソードに溢れていて、まだ上巻。
これは凄い本です。
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