元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
時穴みみか

 変わったタイトルで、タイムスリップものと聞いて読んでみる。
いや、普通のタイムスリップものにありがちな思春期世代や郷愁世代でなく、タイムスリップするのは小学生なのです。
このヒーローヒロイン気質もない、思い出もない歳の子を縁もゆかりもない近過去に送り出すってのが珍しいわぁ、どう転ばすのかな?と思い。(戦争とか、時代劇的な話ですらないわけで…。)

 改めて主人公は母子家庭の娘。小学校6年生だけど、まだまだ甘えた。最近ママに恋人が出来てモヤモヤしている。
そんな中、いきなり自分が、古き昭和の時代の、見知らぬ小学4年生の子供になってしまい、パニックを起こす。
そこでは自分は全く違う生活をしているようで、記憶が飛ぶみたいに平成と昭和の世界を行き来する。(本人の意思関係なく、無作為に。)
 早く平成の世界に帰りたい、自分は昭和の子じゃない、名前も違うし、自分は未来から来たんだと訴えてもおかしい子扱いしかされないわけで、昭和時代の人間関係は悪くないとは言え、一歩引いて日々を過ごす主人公。
 父親は違う名前を名乗る娘に雷を落としっぱなしだし、母親は病院へ連れて行こうとする。それだけでも大変なのに、この時代で本当の自分の住んでいた町へ行ってみると、そこにはマンションはなくただの空き地で―。
 時代が違うと重々承知の上であったが、打ちのめされる主人公。
 それでも与えられた現実をこなすしかなくて、大人しくかりそめの家に帰り、学校へ通い…とそこの所が子供と大人の境界線的な動きで、するりと読める。喚いたり逃げ出したり、或いは完全に演じたりしない所がね。

 さてお話は正直何がどうなるわけでもなく終焉を迎え、平成に戻ってからのちょっとしたエピローグは出来すぎているようでなんとも言えなかったのだけど、読者的にはまさに昭和世代を狙っているのかなぁ。
1970年代くらいの記憶が確かな世代に。
 特に宝塚や家の中の様子、そう言う所に時代感が溢れていて、知らない時代の事でもなんとなく雰囲気が伝わります。

 劇的な山谷はないんだけど(タイムスリップ自体が劇的と言えばそうだけど)、雰囲気で楽しく読めました。
自分だけが知ってる未来だとか、秘密、子供目線だとワクワクする感じが共感出来るかも。
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック