元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
6時間後に君は死ぬ

 ミステリ。
ちょっと不思議な感じの短編集。

 タイトルの物を読みたくて手に取ったのだけど、なかなか最後までああかと思えばまた違い、それもまた違い…と疑惑の畳みかけで繋ぎます。
疑心暗鬼まっしぐら。
 まぁハッピーエンドでかつ、素敵な余韻の終わり方なので途中も安心してハラハラ出来るよ。読後だから言えるけどな。
 肝心のあらすじは主人公の女性がいきなり見ず知らずの男に「6時間後に君は死ぬ」と予言され、なんかどうも本物っぽいから対策しなきゃ死んじゃう!となり自分を殺しそうな人間を疑ったり、避けようとしたり、いや、逆に自分から先制攻撃しちゃえとか(どんな思考だよ、それ。お前強いのか?)、行動力たくましい感じです。
 しかしたった6時間で物凄くたくさんの行動をしてる気がします…。
まぁともあれ面白かった。

 長めのショートショート的なお話で、すっきり綺麗に読めます。
途中で、どうやら一人物を縦糸に、いろんな話を連作にしているのだなと気づくのですが、良作濃度が高いです。
正直どれもこれも、アイディアの捻り、構成のバランスと文句が無かった。ミステリの割にはハートフルな作風で和やかに読めたのも良かった。
 『時の魔法使い』は幼い頃のノスタルジアと、今の自分を再び奮い立たせるような、誰もが思い描いていた素敵な大人の世界、あの感覚を味合わせてくれる物語。
どこかしら甘酸っぱい。
 『恋をしてはいけない日』。
結構最後までどういう事か主人公と同じテンポで状況が予測出来なくて、普通に驚いた。
上手いなぁ、やられた。
 なんとも悲しい物語です。ハッピーエンドが欲しかったんですが、これ故に予言通り、そして悲恋なのでしょうね。
 『ドールハウスのダンサー』。
少し捻りがあって、一人物ではなくその祖母の絡みのお話の様です。
ひたすら不思議な話なんですが、ダンサーの挫折と生きて行く事の『進むしかない』道筋。
前向きに考えられる方が、幸せという事なんでしょうね。
 『3時間後に僕は死ぬ』。
ここへきてこのタイトル!
凄い。やられた。
 再び最初の話の二人が主人公。
最初の話でお別れしてたので、もはや二度と繋がらぬショートストーリと思っていたのに、運命を信じる信じないで、これも受け取り方で幸せを『掴もう』とする、エネルギーの塊の様な主人公女性。
素敵だわぁ。
 予言通りの人生の方も、悪く無く思えたんだけど、自分で作ろうと言う心意気が爽やかに終わります。
 にしても、このタイトルで、この全体構成、盛り上げてくれるわぁ…。
 『エピローグ 未来の日記帳』。
 うーん、これは誰視点と言う解釈なんだろう。
ここまでの作品で伝わってきた運命に対する捉え方は同じで、生きる力を感じるワンシーンなんだけど、単体で読むと謎が残るお話だな。
深読みせずとも良いのかな?

 とにかく全てハズレのなかった一冊です。
読んで良かった。
 この人、『13階段』の人か…。タイトルだけ知ってるけど、これだけ面白いんなら読んでみようかな。
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