元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
その女アレックス

 女性が誘拐され、監禁、暴力と絶望的な状況に。
犯人は女性の死ぬところが見たいと言って、狭い木箱に彼女を押し込め、放置―。
 もうあらすじだけでもくるものがあるのですが、『ところが』が衝撃的なストーリーとの事で期待。
正直躊躇ない暴力シーンは読んでいて腹の中がキュッとします。
 特にキタのは体を折り曲げないといけないギリギリの木箱の中全裸で押し込められ、そのまま数日と言う部分。
これ、相当苦痛だよね…。腰が痛もうが、皮膚から血が流れようが、足が攣ろうが暴れる事すら狭くて出来ないとか、怖すぎる。そのままの体勢で居ると体も固まってしまうしね。
 そして水はあるけど食べ物はわずかばかりのペットフード、寒さに、排泄に、他もとにかく酷い。
最大の敵はネズミ。
彼女が死にそうな時点で食い荒らしに来るわけです。
もう早く助けてあげて!と思うのですが―。
 怖い事にこれ、途中でなんか「あれ?もしかして…」と言う展開になっていき、読者側の意識がちょっと変わります。
言ってしまうと彼女は自力で脱出をするのですが、まぁその手口がこの状況にしてよく思いついた、やり遂げたと思えるもの。賢い上に度胸あるなぁ…。

 さて、大体ここまでが一部。
ネタバラシをするのが早くないか?と思えるどんでん返しの始まりです。
 ここからの方が話は長かった。
監禁シーンが最大のトラウマとか、そこで終らない。
 実際は彼女の誘拐事件を担当した刑事の方が主人公的でもあり、追う方が常に高い壁越えを要求される物語でもあります。
 ところどころ、皆が証拠もないのに断定して行動に移しちゃうのねとか、ささいなツッコミはあるのですが、サスペンス的には理由を問うようなものでないのでしょうね。思い込んだらぶっち切り。
この話に至っては確信は外れないのでそこも凄い。
いやぁ、よくこのストーリー展開を書こうと思い付き仕上げたもんです。
 どちらか一面だけで書くと、凡作になる所を捻った感じ。どんでん返しのネタを書かないと説明のしようがないな、ここら辺は。

 さらにさらに、三部。
またお話の流れがガラッと変わった―!?
 解説にもあるのですが、今までとは違う読書体験をしたと感じる、まさにそれです。
よくまぁ一連の話でくっきりと三部とも全く違うお話に見えるような…。
 よくある多視点とかですらありません。
あくまでアレックスの話であり、他の目線は刑事のみ。
読む程にこの本の凄さに驚いた。
 三部目は、本当、ダメ押しの一撃です。しかも重たい。
アレックスの用心深さや、秘めたもの、このタイトルもシンプルながらにグッときます。むしろこのタイトルでこそ、か。

 犯罪とは何か、正義とは何かで、罪を正しく暴くのだけがミステリーなのではないなと唸らされました。
面白かった。
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