元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
超常現象の科学

 久しぶりにオカルト系。―とは言えオカルトは科学で打破していただきたい人間なんでさぁこい、無知蒙昧な恐怖感を叩きのめしてくれる人類の英知よ!
(意訳:超常現象(主に心霊)なんて脳の錯覚だと言ってくれないと怖すぎる。)
こういうズバリを突いた本は意外と少ないので貴重です。

 著者はマジックに精通し、そこから心理的なものを調べに調べた、ある意味内情を知っている同業者狩りにも似た斬り方をしてくれます。これがきっぱりバッサリで気持ち良い。決めつけでなく理路整然と超常現象の種を明かしてくれます。
 まず幽体離脱。
心霊写真。
占い。
超能力…。
面白い。
 例えば魂の重さ21g。
面白い実験だし実際に重さが変わるのだから神秘的なものを感じざる得ない。どうやって否定するのか?
 実はこの実験には犬バージョンもあって、犬の体重は生前死後で変わらなかったんですって。故に獣に魂はなく、人間こそが魂を持つ、人間は霊的に偉い!みたいな流れだったらしいんですが、そこからダウトが解るんですってね。
 魂は抜けた水分の重さだと言う説が裏付けされるんです。
犬って全身には汗腺がないらしくてほんの一部、だから水分が抜けず重さが変わらないって事らしい。
ああ、そう言えばどこかの雑学本で全身に汗腺があるのは人とか馬だとか見た記憶があるな。
こういう事が結びついていく時の快感と言ったら―!
 心霊写真もどうも最初のはしりがあったらしく、偶然撮れた二重露光(プロの写真家)が周囲の人間に盛り立てられて心霊写真ビジネスを始めたって背景があるみたい。
それ以前には心霊写真がなかったってのなら完全に仕組まれたビジネスモデルだな。
後にこの人はマジシャン(皮肉)に訴えられ投獄されていると言う…。
 さて一方マジシャン。
こちらは手品、と言い切っているから罪がないが、それを超能力と言う人が常に出続ける。
大抵は公開実験でバレたりが多いけど、正直ここら辺は全部マジシャン対決と思っているわ。
頭脳と技術で出し抜いたもの勝ち。
(では本気で自らをも超能力者だと自覚している人たちはと言うと、この本は常に外から偽りをくずす本なので内で何を考えているかは不明。)
 占い師も似たようなもので、こちらは洞察力のプロ集団と言えます。
リーディングで相手を見抜く。そのために統計をよく識り、まずは確率的に当てにかかる。
 港町出身で色黒の男に、船乗りだろうと言う見当をつける。誤っていればそれは直接表現でなく比喩だ、船はこれからの旅を示している―とどこかで必ず繋げようとする。それでもだめなら「君はまだ気づいていない心の内」だとか何とか言って煙に巻くと言う。話術だな。話術のマジシャン。

 またこの本の面白い所は騙す術もそうだけど、『何故引っかかる人がいるのか』『騙されている側のメカニズムは?』と騙す側よりも騙される側に焦点を当てている所。正しく著者はそれに興味があるようです。
 人は自分の欲しい答えだけを見る。
不都合な事実は忘れる。
自ら関連付けを行う。
これだけで立派に飛んで火にいるカモになっちゃうんですね。
 マジックをこう楽しめない人は無粋だと言いますから時にこの楽しむぞと言う参加意識は大事ですが、ショーだと判別付かないのは危険です。
 目の錯覚は肉体上致し方ありませんが、意識の錯覚も見事なもので、本の中の質問、半分くらいは見事に典型的な回答をしてしまいました。怖い。怖すぎる。
騙されますよと言う前提を持って挑んだ挙句騙されてるんだもん。いつ騙されるとは知らずカモにされたら100%騙されますよこれ。
 またどういう事か、人は顔で性格を判定した時に高い確率でその印象通りの性格をしている事が多いらしく、写真判定テスト(どちらが正直そう?とか)でも騙されやすいとは言いませんが、騙されにくいわけでもない回答で、本当にゾッとします。たかだか本にすら翻弄される騙され脳です。現実にプロにやられたらいつどんな風に何を信じるかわかったもんじゃありません。
 疑い深い人ほど自分のラインを超えてきた何かを盲目に信じ易いと言いますし、実際その通りだと自覚があるので、常にこの手の事は頭に留めておきたいですね。
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