元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
ツタンカーメン死後の奇妙な物語

 単語だけは有名でその実を知らないものを知りたい欲、続き。
次はエジプトへ飛びます。
 奇しくも最近、またピラミッドで新しい空間の発見が報じられましたね。
あれは現在進行形の大きな調査対象だから今後どんどん展開するんだろうなぁ。
 例えロマンが無かろうが、そう言うすべてを完結状態で知る事が出来るような時代に生きてみたかった。
先人らの苦労の凝縮をただの数時間で知識に出来る現在の人間の恵まれた環境って、本当、尊い。過去がある限り常に調査途中、諸説紛々が当たり前なのですが、まだまだ調査研究は前に進むと信じられるからこそ言える事ですね。

 さて、そんなツタンカーメン。
焦点がありすぎてこの本はどこをメインに語るのでしょう?
 改めて詳しく聞くにつれ、ピラミッドの歴史は盗掘にあり。もう荒らされてない墓なんて奇跡的だもんね。
例えば偉大なるエリザベス女王が政令5000年の頃、墓所を暴かれ遺体を観光客に晒されたらこんな暴挙に君は耐えられるか―?と当時の訴えがあったそうですが、さもありなん。
 確かに自分と今と繋げると、耐え難い事かも。
 だが他人であり過去であると考えると、ご遺体はミイラと言う学術的な物質でしか見えなくなるんだよねぇ…。
 それが大多数だったから科学と学問に押されミイラは盗人だけでなく、高潔を振りかざす側からも掘り返される。敬意があるかないかなど知らないけど、結局やってる事は近かったと言うわけね。
 学者ですら技術も思慮も浅かった者は、ひたすら貴重な品として遺物を掘り返し、自国に持ち帰り、そのものがどういう風にどこに安置され―と言う記録すら取らずに現物回収だけしたと言うお粗末な話もたくさんありました。
 また美術品としかみない人々のコレクター欲を満たすために、失われていく遺物たち。
生きるために盗んだ自国民、文化人だと乗り込んで口も手も出していった学者たち、美術を愛でるふりをしてミーハーに買い集める裕福な外国人ら―そうして過去は消され、歴史のピースは流出していったのです。
 …まぁ、埋葬されて速攻盗掘なんかされてるし、何のかんの理由を付けて後世傾いた王朝のために埋葬品利用されたりね、元より死んだ人間に宝物持たせること自体どうなんだっていう話ですけど。
 死者が復活すると考えられていたから肉体をミイラ保存していたわけですが、その復活後の生活のために宝物が必要と言う考え方なんですって。(単に王の力を誇示するためかと思ったわ。)
でもその宝物のために墓を暴かれてミイラ本体破壊されてりゃ世話ないわよね。
 勿論代を重ねる事に、派手で分かりやすく墓を誇示したら盗掘されるから、墓を隠そう!となっていくらしく、ああ、ちょっとは考えてるんだなと思った。ついでに…信用してないなぁ、自国民や自分の威光。極端な話、墓守って職業は作らなかったんだろうか?特に書いてなかったけど。
 そして墓守と言えば酷い話で、当時発掘作業をするのに外国人学者が責任者で居た所、外国観光客が墓に押しかけて、狼藉を働こうとした。現地スタッフのエジプト人が外国人学者の命令の元、撃退。
そしたら外国人学者は自国から「尊い自国民を野蛮なエジプト人に襲わせるなどと言語道断」と怒られるとか酷い話もあり。
…とんでもない差別だよ。
 そう、ピラミッドの調査って、今はいざ知らず当時は外国の学者ばかりで、エジプトは自分でやらなかったし、やるだけの知識の技術もなかった。
 ただこれはだからと言ってエジプトがただ食い物にされたかと言うとそれだけでなくて、知識がないのに自国の物だと言う権利主張だけはして現場を混乱させたりとか、結局はエジプトの内も外も、世界中が寄ってたかってピラミッドに群がった騒乱の時代だったようです。 自分たちの起源をファラオに求め、歴史的な拠り所を物にしたいと言う思いもちらほら。
変に歴史のある遺物だから、時代とか国の差・立場で感じるものが全く違い、膨大なサイドストーリーを生むのも納得と言った所でしょうか。
 例えば一番有名なツタンカーメンの呪い、なんてものは明らかに戦犯が判明していると言うか、たまたま調査チームの一人目が死んだ時に、「だから言ったのに!」的に面白おかしく自分の作ったネタを吹聴した小説家が発端の様ですね。
それを非科学的と反論するもの、追随するロマンチスト…と著名人たちもこの網に引っ掛かってくる。(コナン・ドイルなんかも呪いは無きにしも非ず派だったとか。こう言うの聞くとなんかモヤッとするわ。)
 しかし否定派の一人のあるセリフがおもしろかった。
「たかだか王冠を被った一人間に過ぎない者に、神が数千年を経て特定の誰かを呪い殺す力を与えるはずがない」。…神を引き合いに出してるのが皮肉でも本気でも面白すぎる―。

 さて、謎に包まれたファラオらの調査と言えば、ミイラが誰なのかに注目が集まるらしく、後世になって血液検査などでどんどんと解明されていく。
最初はこう思われていたが―と言うその時代の研究者たちが可哀想にさえ映るテンポで、二転三転と最新結果の説明がされていきます。
それだけ長い間多くの人々がこのエジプトの謎に囚われているようです。
 今となって「こんなお粗末な扱い方をしやがって!」的に初期の調査団らを詰る部分も出てくるのですが、当時ではがんばった方だと解ると思いも複雑ですね。
 オカルトには偏らないし、研究者をひたすらにリスペクトだけもしない、野次る所は野次った上で、淡々と歴史(そして周囲の人物の逸話)が語らえていきます。
勿論明かされたファラオたちの事実も。(常に研究調査中の題材ですので真実が何かが判別付かないのだけはご愛嬌ですが。)
 分厚いのですがじっくりと読もうと言う気になる一冊。
知的好奇心が揺さぶられる読書でした。
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