元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
踊る光

 短編で童話みたいな…お話、かな。
後から知って驚いたのは作者が女性だった事。
まぁ翻訳物なので性差は消えるんだけど、どこか男性的な文章に思えたから。

『幽霊ナイフ』
 この話のあらすじが気になって。
実体が無く、宙を彷徨い犠牲者をを貫く幽霊ナイフ。
それに貫かれると愛おしい人を忘れると言うが…。
面白い設定です。
 まぁそれよりか、それを作り出した要因となった魔術師や城や姫の話がなんかすっきりしない。
姫に恋して姿を見せずに奉仕する魔法使い→一番最初に姫のいる城に行くからプロポーズ受けて!→良くしてもらったからと顔の見えない相手に了承しちゃう姫。
こんな穴だらけの計画でお察しの通り、それより先に偶然王子様が姫の城に来ちゃって、姫、この人か、素敵と思う→2人恋に落ちる→魔法使い到着したが時すでに遅し―。
この流れは誰が悪いの??
 個人的に魔法使いの間の悪さが可愛そうなんだけど、まぁ彼から見れば姫は確かに彼を裏切ったわけで…。(姫は王子を魔法使いと思い込んだからまだ言い訳がたつし、王子はそんな前置き最初から知らないしとばっちりですが。)
まぁ、約束するなら名前名乗っとけとか、自分の説明をしておけと言うこれに尽きる。
だが魔法使いはもう情けないやら悔しいやらで呪いをかけちゃう。
その癖根はいい人なんだろうなぁ、姫と王子の事、歓迎できないけど悪くないのは知ってるから呪いを解くための手助けやヒントを出しまくり。
最後の最後にはずっと二人の道のりを眺めていて、悲しそうに身を引くし。
 最後まで魔法使いが悪いやつで王子も姫も対峙するならある意味すっきりしないまでも大団円なんだけど、魔法使いがいい人だと知っている姫が魔法使いに行かないでと止める、道中助けられた王子も引き留める、けど魔法使いは去ると言う所に非常にやるせなさを感じたお話。
魔法使いにこういう徳の高さでない良い結末を与えてくれ…。

『二人の王』
 どこかで聞いたような聞かない様な。
正確が真逆の王子二人が国を分けて統治。それぞれの王になるのだが、互いに互いの国を奪おう、一緒に幸せに統治してあげようと罠にかけあう。
結局二人はそのせいで、対照的な木になってしまい、国も全く別の統治者を迎えると言う、どう取ればよいのか皮肉な話。

『十三番目の妖精』
 いばら姫ベースだな。
人数は違うけど、いつも祝い事に呼ばれない13番目の妖精の話。
ただ12人しか呼ばない慣習だからと、確かにそれだけで呼ばれないのは可哀想だが、苛立って呪いをかけちゃいました―までは許せるが(意地になってるの、わかるもん)、最後まで隠れてのみ良い事をしていると言うのに、それで『ほら自分は呪いをかけたけどそれ以上に良い事してあげた!だから次からは一番に自分を招待してもらえる!』と思えるのは何故だ。
自意識過剰に加え、実際的にだれも妖精の善行を知らないと言うのに。かつ慣習がおかしいと声を上げたのに、自分が一番目に選ばれるなら12人の枠にこだわっていない所とか、まったく視野が狭いとしか言いようが…。
 ここで「12人と決めるのがおかしい」とでも主張しているならまだカッコいいのにね。(まぁ逆切れ呪いをかける位の妖精だから、本当はまだ幼い扱いなのかもね。そりゃ呼ばれないわ…。)
 でも最後に皆が『あいつは悪い妖精だから』みたいに言ってる所がちょっと怖かった。
一人勝手に自分の正義やプライドを掲げる人も怖いけど、その意図も知らずいつも迷惑をかけられているから邪悪と言うレッテルをそのまま流す周囲も怖い。
お互いの無意識と言う皮肉さが効いてるお話。

『夢にすぎない』
 長かった。
欲のない末王子―と言う良くあるパターンの癖、本気で王国を治めたいとは思ってなさすぎの王子のせいで、ちょっとややこしい事になる。
 とは言え途中経過で傷つく人々をも回避させてあげようと、王子は予言を現実に変えてなるものかと奔走。
しかし全部どうしようもなく裏目に出て、運命は確実に末王子を王にしようとするのでした。
 そこまで、王子なのに幽閉されたり国外追放されたり苦労もあるんだけど、『夢にすぎない』って言うならもう口八丁で父王や兄王子たちを操ったり、人心掌握すればいいのに…。素直だから出来ないのねぇ…。

『ドラゴンと鍵』
 ちょっとおもしろかったんだけど、囚われの姫を王子が助けるのは一緒。
しかし助け方が「まず鍵を探す」とか。
鍛冶屋のドワーフ達が手助けをしてくれるんだけど、見つからなくて「じゃ作ってくれよ!」「よしきた」で解決するところ。
斬新…それ、いいのか?(まさかのその発想が出来る人間が正解と言う。)
しかもドラゴンが待ち構えているとか、ブラフだった。(これも仕様。)
この単純でないふるい落とし方が面白かった。

『踊る光』
 タイトルがこれなんだけど、正直この話が一番面白くなかった、地味と言うか…。
灯台守の男が妻と出来ないダンスを我慢して踊るんだけど、奇妙な海の精の様な男が彼にダンスを教えてくれる。ここの灯台はダンスを踊る事で灯台の光が踊るように揺れると言う不思議灯台だったのです。
まぁ…踊る光と言うのはそのままのタイトルですね。
 灯台守夫婦は老いるまでダンスを楽しんで、また次の代に変わっていく―。(先代からダンスの話はなかったんだろうか?)
穏やかなタイプの話。

 全体的にバラつきのある古今東西のおとぎ話『的』な感じです。雰囲気は割と一本やりなので、多才と言う感じでもなく、まぁ淡々と童話を読みましたと言う印象。
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