元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
バチカン奇跡調査官 1  黒の学院

 タイトル借り…とでも言おうか?
表紙から設定から如何にも日本のエンタメ小説なんですが、さぁどうか。(この表紙絵がアニメ・漫画風だった時の構え方はどうなんでしょうね。アニメも漫画も好きだけど、何かそれの母体が文章だと評価が変わっちゃうわ。)
 で、あらすじ的に『キリスト教の中で奇跡が起こったと申請があれば、それが本当に奇跡かどうかを調べる』調査官が居て、そう言うのが素敵だなぁと思って手に取ったわけです。
否定して。冷静に奇跡を否定して!

 ―とまぁ、調査官らも属した以上キリスト教徒らしいですよ。神父。
 主人公は日本人。天才的な頭脳派で、科学的見解から奇跡を判定するために乞われて奇跡調査官をやっているのですが、頭は良いけど実生活がダメなタイプ。
天才肌なのに、家事が出来ないとか、ぼーっとしてるとか、そう言うキャラです。
 文面だけ見てるととても表紙の様な鋭い眼光の人間でなく、ちょっとこの絵はどうかと思った。
頭脳戦に入るとこれくらいのオーラ出すのかもしれませんんが、欲を言えばこの主人公はどこか抜けたような性格に合わせて、美形なんて言う設定をせずに、とっちゃん坊やみたいな朴訥としたルックスにしてもらいたかった。
もう超美形の描写なんですけど、なんだかなぁ…。
物腰とか、セリフや性格は凄い和むんですけど。
 若くして天才と言う所はともかくとして、歳の離れた弟が難病患者で、そのお金を稼ぐために無茶な調査に乗り出すと言う、理由付けはこのキャラっぽくあるな。
 で、相棒が暗号専門の外国人神父。
 ちなみに主人公は神を信じる前に科学を信じてるし、かと言って神は居たら大歓迎なので、是非本物に会いたいと『厭味でなく』思ってるお人。
だからこそ、宗教に対してニュートラルな立ち位置でお話が楽しめます。
まぁ…悪魔も同じくらい居たら是非見たいと言う人なんで、もっぱら非難を受けまくりですが。(変人と言うレッテルは貼られているようです。)

 途中で神学校に通う少年視点に切り替わり、あれ?となったのですが、そこが主人公らが訪れる事となる学校でした。
この少年も外からの転入組で、宗教を信じない派なので心の中のセリフが実に共感持てて良い。
空気を読める子なので、キリスト信じてますなんて顔をして過ごしているけど、頭自体が良いのでその突っ込みが的確過ぎる。
擦れていつつも少年独特の心の揺らぎで調子に乗ったり、ドギマギしたり―この少年視点の方がまた学園ものとして面白かったりします。
 だがしかし、この二つの視点はかの学校内で殺人事件や奇怪な黒ミサ、奇跡の数々と事件をこれでもかと言わんばかりに目の当たりにさせられます。
調べる主人公は常に冷静。少年は懐疑的ながらもこの聖なる学び舎の独特の空気に魅せられたり―。
 この二人になかなか接触がないのも面白いのですが、大体ここら辺まで話が進むと、主人公の美形設定は忘れて読めます。
きゃぁきゃぁ言うような婦女子の類が居ないのと、美少年だらけだからか、悪目立ちしないのですね。これは良いぞ。

 キャラや展開は申し分なく引っ張ってくれるので安定した読書を提供してくれます。
この謎の答えはこれじゃないかなぁと、うっすらわかる程度の適度な難易度も良い感じ。
(それにしたって処女懐胎だけは訳が解らないんですけど。医師の判断で処女だし、でも実際妊娠してるとか。本人の記憶もねぇ…。)
 あとまさかそっち方面のネタも絡めるとはと言う、衝撃の事実が浮かび上がるラスト近く。そうなると種明かしも成程と言う物ばかりでした。
言うなれば昔の話かと思いきや、現代物だったわそう言えば、的なこっちの意識をひっくり返された感じ。
そう言う基盤があるのなら、あの種もこの種も、こう言うトリック使えるかー。
 騙しとかじゃなく、潜在意識に億尾にも出さずってところがやられた感があって、唸りました。
扱うにしてはちょっと想像以上に大きいネタなんだけど。

 そもそもいろんな専門的な事象をこれでもかと詰め込んでいるので、ちょっと圧縮しすぎ?と言う感じはするのですが、ビジュアル的な雰囲気もあるし、ちょっと海外っぽくアクションを派手にすれば、ハリウッド映画でも作れそうな感じです。
 いやぁ、それにしても相棒さんが解読担当なはずなんだけど、言語関係も主人公の方が引っ張ってて、活躍がほぼなく主に肉弾戦(主人公が非力だから)くらいだったのが肩すかし。大体においてはこの人、始終主人公の現実的な重し役でいたような。
化学担当と解読担当なら、この手の話は解読担当の方が頭良いイメージがあるんですがね。
 そして主人公もぼーっとしてるくせに聖水の件については怖すぎた。読んでいて中身が何なのかはすぐに察しがつくんだけど、実際こういう事がためらいなく出来る人って…どうなの?

 さて、一話目でかなりの大事が暴かれてるんですが、この後処理が一体どうなったのやら、最後は後も引かずあっさり終っているので、今後もこの濃密さで進むシリーズだとしたら凄いなぁと思えます。(この巻のラストで次の派遣を命じられてるし。)
 続きをどうしようか考え中。10巻以上あるみたい。

 で、この人『真夜中の商店街』の人だったわ。
意外と子供向けも多く書いてるみたいで、テイストがちょっぴり怖めなのは同じなんだけど、一般向け書いてる方が似合ってる気がする。
凝った世界観と知識量が発揮される作品が上手そうなんだもん。
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