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路地裏のあやかしたち
路地裏のあやかしたち―綾櫛横丁加納表具店 (メディアワークス文庫)路地裏のあやかしたち―綾櫛横丁加納表具店 (メディアワークス文庫)
(2013/02/23)
行田 尚希

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 本屋の平置きで見た時から、不思議なお店(和風)、不思議な女主人(和服)、迷い込む男子学生となんだか『XXXHOLiC~ホリック~』みたいな話だなぁと思いながらも装丁が綺麗で覚えていた一冊。
 装丁と言うか表紙が鮮やかに見えたのはなるほど、表具店の話だからか。散りばめられた和柄に色の重ね、この雰囲気が好き。
絵的にはちょっと女主人の顔が若すぎてアレなんだけど、雰囲気は解る。
作中では喋り口調と言い、もっと女主人のイメージは大人の女性です。
 出てくるキャラ達が皆個性的ですが、基本能天気と言うか元気で明るい人―いや、あやかしたちで、『XXXHOLiC~ホリック~』から『しゃばけ』も足したイメージに。
 しかし読んで行くとこのイメージは払拭されます。そんな設定が気にならなくなるだけの世界観が、作品の色がちゃんと確立されていた。

 一話目はまさに紹介編と言う感じでありがちなお話(奇妙な怪現象を起こす掛け軸を、美人で気風の良い女主人が鎮め、ハートフルに解決。主人公にはあやかしたちとの交流が出来る)なのですが、二話目以降のあやかし一人一人にスポットを当てて行く話になると、あー、これはきちんとお話してるな、と。あらすじだけ聞いていると設定ありきの雰囲気話に思えたんだけど、読んでみると上滑りもせずに読者の心をつかんでくれる話が展開されます。これは引き込まれた。
 化け猫、雪女、天狗、古狸、河童…とキャラはたくさんですが、がっつりハートをつかんでくれたのは天狗の王子でした。
(いや、そもそもこの本、天狗と言うキーワードでひっかかった本なんだよ。(苦笑))
 この子が可愛い!小学生の男の子(化けているのではなく、実際に子供年齢)なんですが、喋り方が古めかしい武家口調で、帝王学バリバリに振る舞いはあくまでも王子様。しかし明るくて素直で、人に優しい正義漢でもあり、下々の民のためなら泥をも被る気概を持っている、とんでもなく将来有望な王子様なのです。
それでいて通っている人間の小学校では、ちゃんと空気を読んで現代っ子を演じる事が出来ており、友達もたくさん居ると言う出来た子だったりします。
 この子の、お家と天狗世界のためと天狗の長である父親に甘えたい所をグッと我慢して、離れて暮らして堪えている姿が、可愛くて堪らんのです。なんだこの母性本能くすぐるキャラ…。ショタ??
 また天狗の執事との組み合わせも良いです。「若!」とお決まりの甘やかしロマンスグレーで、ここの天狗たちは本当…。
番外編で天狗の国の騒動の方書いてほしいわ。マジに。
 あとは唯一の人間キャラで、家系ごとこの店との繋がりを保ち続ける同業者のキャラが居るのですが、何故かこの人のビジュアルが私の中で『いとしのムーコ』のうしこうさんで再生されます。作務衣にサンダルでガタイが良いから?
 いや、この人も好きなんだ。淡々とあやかしと付き合ってるけど、子供の時からあやかしたちに成長っぷりを見られている弱みとか、良い。
 しかしこのお話、描写が細かい割に、登場人物たちの容姿については詳しくないと言うか…思い浮かばないんだよね。服とかは細かく書く割に、その人の顔だとか、美人だとか愛嬌あるとか、男らしいとか、そういう部分は触れてなくて、始終ぼんやりしたイメージで読んでました。(女主人だけはイメージ伝わるんだけど。)
 まぁ全員が全員美男美女揃いの話は引くからこれでいいか。

 さて、お話は数話続いて、因縁の女主人公の話に。
こちらはもう切ない幽玄な話でしたねー。
ちゃんとこのお店に理由があったとは。
 そこからラストの話へ。
 いつの間にか女主人に弟子入りして、自ら表具を仕立てる事を習っていた主人公が、その作品完成半ばにして、店のあやかしたちが一斉に居なくなると言う事態に直面して―。
 ああ、この一種寂しさを伴った、最終話。
このままハートフルとは言え儚げに終わったらフラストレーション溜まりまくりだよと思ってたけど、我慢して読んでると(なんか仕立てられた感はあるなりに)きちんとハッピーエンドで終わりました。
『さよならドラえもん』から続くようなこの感じときたら。

 これ、続きが出ないものかと思える作品で、いや、でもこのまだ読み足りないくらいの時のラストが一番良い引き際なのかなぁ、とかもやもやしちゃいました。
最終話の時系列無視で各キャラの番外編、もう少し読みたい気分です。天狗、頼む。

 (で、続巻あるんだね、これ。①とか書いてないから、最初は一巻だけのつもりだったのか?一話から最終話までいい配分だったしなぁ。)
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