元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
自鳴琴(オルゴール)
自鳴琴 (BOOK WITH YOU大)自鳴琴 (BOOK WITH YOU大)
(2011/03/19)
池田美代子

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 タイトルから勝手に抒情系を思い浮かべていたけど、あらすじを読んだら学園探偵ものっぽかった。
表紙を見たら一目了然ですねー。今風アニメ寄りキャラが4人。
中学校の秘密のオカルト研究部が、幽霊に連れ去られた女生徒の失踪事件の謎に迫る―と言うワクワクな設定です。
 しかしタイトルの雰囲気から、キャッキャッしたノリは感じられず、実際湿った空気が一定して流れ続ける作品でした。キャラは相当王道学園探偵ものを踏襲した作り込みだと思うんだけどなぁ。
(平凡な主人公、お嬢様風勝気娘、眼鏡頭脳派、おっとり金持ち少女。)
 ぶっちゃけ、このキャラの作りこみ具合といい、登場人物が始終舞台となる中学校の関係者だけで構成されていて、親が同じ学校の卒業生、同級生、その親戚も、あるいは先生関係も―とご都合主義にこの4人の周囲で固められていたのがなんとも興醒めの部分。
わざとらしい配置なんだよなぁ…。
 昔の自殺した少女と同じ時代の学生や先生がこうも揃ってるのが出来すぎで、せめてそうするために舞台を中学校(校区で決まるので、地元型の話に出来る)にしたのかと疑う位。
 その癖夜中に出歩くとか、お金持ちの少女の家の別室を溜まり場にするとか、ちょいちょいそこらの中学生の標準と思えない恵まれた環境が用意されている。
ティーン物は常にこの『行動の自由』とか『機動性の確保』とかの問題にぶち当たるよね。
親が理解度ありすぎだったり、継母ですとか、特殊な環境を作らざる得なくなって、その分暗い設定も入り込んでくる。
 それすらも他と違う特別性になって『かっこいい!』となるかどうかはもう読み手次第なんだけどね。
 あと、4人の内、主人公の淡い恋は投げっぱなしだし、眼鏡君とおっとりちゃんの阿吽の呼吸は何の伏線だったんだとか、お嬢の過去の告白は咄嗟すぎて必然があったのかとか、メイン部分のキャラについても読み進むにつれ疑問符が飛び交いました。
 なお、ストーリーの方では過去の事件の方の先生の行動が良く解らんかったり、自殺まで行くのかとか、主人公母と友人の辺りの話は今の今まで本気行動を起こして相手を探さなかったのは何故なんだとか色々―。(だって卒業アルバムを麻紐でぐるぐる巻きに封印する位の心の傷って、そこまで気にしてるんなら大人になってからでも行動出来るんじゃ…。心の機微とか言われたらそうなんだろうけど、あっさり(すぎに)訪ね人の所在が知れたら会おうとするくらいの思い切りがあるならねぇ?)
 うーん、何と言うかそう、手の込みすぎたお話。1mmでも何かが違えばこうは成立してない様なお話で、読んでる自分の感性の幅からぶれた時、余白修正のない進め方しか出来なくて、最初はそうでもなかったのに、どんどんと誤差が広がって行くような読後でした。
 子供も大人も全員センシティブなお話だったので、もう少しだらっとした余裕のある設定やキャラで読めたら良かったかな。キャラ立ちはしてるから。
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