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僕が旭山動物園で出会った動物たちの子育て
僕が旭山動物園で出会った 動物たちの子育て僕が旭山動物園で出会った 動物たちの子育て
(2013/12/10)
小菅 正夫

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 かの旭山動物園のお話。
どうやってあそこまで話題の動物園になったのかを語ってくれるかと思いきや、そんな話はなかった。
そうね、確かに子育ての本と書いてあるわね。

 いろんな動物の子育てに焦点を当てた、なかなか貴重なお話です。
キリンも居ました。
 キリンに関して言えば、群れの動物って、子育ては学んでする様になるのですってね。つまり誰かの子育てを見て覚えるらしく、最初から見た事が無いと育て方が解らないんだそうです。
…そうなの?
野生ってもっと万能なんだと思ってた。
 ここのキリンさんは、3回まで人間に手伝ってもらって、人間のを見て子育てを覚えたと言う特異な経緯だそうです。
 鹿と同じような感じと例えられていたんですが、その鹿には聞くと怖いと言うか野生の厳しさを感じさせられる話が書かれていました。
即ち、『鹿は基本的にメス中心の群れ。季節柄外敵に襲われるようになると、群れを率いているオスを犠牲とし、次のオスがまた群れを率い、犠牲となり…と交代して行って、安全な季節になるとまた気心の知れたメスだけで群れを作る』―って、おおおお…オス…不憫。(涙)
 同じように自分の子供を食べちゃうネズミとか、一見人間から見ると仲間の数減らしていいの?!、というような行動にももっと大きな意味がある。そんな様子を伺い知る事が出来ます。
 動物が実際どう思ってるかは解らないけど、ストレスなんかで自分の赤ちゃんを育児放棄したり、殺しちゃう動物は多いらしく、この本の中では『子供を育てられない、死なせるくらいなら自分で始末付けるわ』と言う感じで書かれています。
 少なくとも魚とかが自分の卵を食べるのは、ダメになった卵を置いておくと他も腐り出すと言う立派な理由があるようです。
いわゆる高等動物になるにつれ、なんだか複雑になってくるなぁ…。
 あとオスメスでも違う。
種にもよるけど、オスはやはり自分の子供以外は平気で攻撃するし、自分の子供ですら邪魔もの扱いする事がある。
ライオンなんかはそのせいで、子供を守るため、メスが父親であるオスの事をがんがん追いたててた。
 それでも野生下では、オスメスで子育てをするのが当り前の動物も多く、旭山ではなるべくその状態を保ちたいと、手探り状態で親子を同じエリアで住ませたり、努力をしていったようです。
 上記の頭があるから、普通は動物園ではオスはメスと子供から離して飼うのが当り前だった頃からですよ。
 これは相当勇気のいる事で、毎回、初めてオスとメス、子供を一緒にする時は、とにかくオスが子供を襲わない様に飼育員で麻酔銃の用意なんかしつつ囲んで見守るそうです。
 自分で子を産んだメスですら自分の子の扱いが解らない事が多い中、メスが産んだとか、自分の子とか認識すら出来ないオスが、子供を受け入れるかなんて、そりゃ賭けだよね…。
 それでもオオカミの子育ての話は、嬉しくなるほどにオスも協力的で、野生って、何が当り前なのかわからなくなります。
メスだけで子育てしたり、群れのメスで共同で子供の区別なく育てたり、オスは排除したり、はたまたこまめに子育てするオスが居たり―。
 逆に知識不足で、メスが安心して子供を産める環境を人間側が用意出来なくて死なせる事も度々。
こう言ういろんな組み合わせは、ひとつひとつ動物園と言う現場で経験しながら、また他の動物園と連携を取りながら手探りなんでしょうね。
つがいだけで飼うとか、多頭飼いとか、環境に寄っても違うようですし。

 野生なら全部上手くいくとは言いません。
その分自然淘汰がありますし、動物園はその分安全だけど、ストレスや不自然な環境と言うマイナス面もある。
人の、動物園の歴史がどんなものなのかは知りませんが、こういう話を聞くと、動物園は本来動物の研究機関であると言う事もうなずけるなぁ、と。
生態を知らなければ、コントロールや保護も出来ないわけですからね。
 今の地球で、人間はこれだけ環境に手を加え、他の動物を排除してきました。
『人も自然の内、弱肉強食』と言うのは簡単ですが、生態系と言う大きな括りで見た時に、さて他の動物が担う役割を、人間は本当に熟知しているのでしょうか。
そしてその代わりを用意出来るのでしょうか。用意出来れば淘汰して良いとは言えませんが、元に戻せない物をいじるのって、いつでも不安を感じます。
 また今更『自然=何も手を加えない事』と言うのもちょっと違う気がします。
何をするにしろ人間のエゴが入ってくるのですが、少なくとも『いざ保護しようとした時には出来る体制』を準備していなければ、手詰まりの未来がやってくるように思えます。
 だからこそ動物園は、見せものとか、動物と触れ合おうと言うレジャー面だけでは、ダメなんですよね。
こういう風に、チャレンジしては失敗し、成功を得、積み重ねて行く知識と経験を、是非先に繋いで行ってもらいたいです。
 命を繋ぐ事を手放しに尊いだとか、それこそが自然だと言う賛美については私は100%同意しきれない所があるのですが(適当な数に落ち着くために種として出産率が下がる事もまた自然と思う)、少なくとも動物園と言う箱庭の中では、産めよ増やせよは命題なんでしょうね。
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