元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
カンボジア孤児院ビジネス

 タイトルがすべてを物語る、孤児院にビジネスと言う不穏なキーワード。
お察しの通り、孤児院が金儲けに使われていると言う話です。
 著者はこの件で何度も現地へ取材に言っているようですし、研究だとかニュースだとかではなく、ジャーナリストとしての本かな。

 しかし…色々衝撃を受けました。
予備知識でこのタイトルなのにそれでも予想よりも酷かったのが、思いつく限りの子供への虐待とかよりも、『そもそも孤児院と言いつつ、親のいない子がほとんどいない』と言う事でした。
 ―どういう事?と思ったら、貧しい家の親が、子を育てられない、教育が受けられる、金儲けになると言う理由で、孤児院に子を送り込んでくるそうです。
 それも、泣く泣くとかでなく、そこそこ子供を大きくさせたら、手のひらを返したように「うちの働き手だ」と子供を引き取りに来るんだそうで。
…ぇぇ…。
孤児院は孤児院で金儲けしているのは想像付いたけど、親…。
 そして孤児院をどんどん作り、援助金を受けながら、実態では孤児でもなんでもない子供を使って、観光やボランティアで訪れる外国人を『可哀想でしょ』『子供は純粋で何の罪もないでしょ』と愛想よく、気に入られる様に演技させ、収入を得るのです。
 せめて、せめてこれを本当の孤児でやっているなら話はまだ分かるが、本当の孤児無視で托卵の様に子供を利用するのが…とんでもないビジネスです。
 勿論そこにはやはり搾取される子供の姿があり、売春だの虐待だのの問題もあります。
それも含めて、子どもが餌にされてるのですね。

 中には本当の孤児も居るとしても、孤児院の名乗りは金が儲かるとしてどんどん孤児院ばかり増えていき、援助や寄付を謡いながら善意の外国人を引っ張り込む手口には怒りを覚えます。
(売春目的で来る外国人はお話しにすらならないですが。)
 しかし意外とカンボジア人自体は、孤児院の金の流れなんてザルで当たり前とか、親の托卵状態は貧しいからどこでもやるよとか、孤児院内の子供のえこひいきとか、教育とは名ばかりの授業のからっぽさとか、結構無関心だそうです。
…まぁ、騙される財布は外国人の物ですが…。
 しかし若い学生なんかがボランティア!海外の可哀想な子供たちを手助けする自分!とかの上辺に酔っちゃって、自分がそこで吸い取られたお金の使われ方を照査しようともしない事も情けないやらお人好しやら…。(内訳のない領収書のみで、旅行代金はいくらで、必要経費がこれだけ、いくらが子供の教科書代にとか、食費にとか、説明もない。提示されたものが嘘だとしても、考えや運動に賛同するにはそういった具体的な施設の行動と原理を調べて納得した上で参加すべきなはず。でなきゃ雰囲気を買っただけになる。)
全部ビジネスで大人の私腹を肥やされていると言うのにね…。

 まぁ、自分もこの本を読むまで、まさか孤児院を作るためにわざわざ親のいる子を集めているなんてとんでもない状況を予想だにしていませんでした。これ自体への浅ましさに加えて、本当の孤児が報われないと言う結末を考えない事も。自分たちの行為がばれるとおまんまの食い上げと、作者の取材などにはことごとくシャットアウト喰らわせるんだから考える頭があると言うのに。
 自分自身が貧しい事があったとしても、自分よりさらに弱いものから搾取する。大人同士なら弱肉強食論も解るのですが、相手が子供かと思うと、極まれり感が強いです…。(そもそもどの大人たちも食うや食わずじゃなく単なる贅沢に金を回してるもんなぁ…必要性がない。)
 生まれた国や環境で、こうまで考え方が違うのだな、とただため息をつくだけです―。