元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
文学全集を立ちあげる

 架空の文学全集を作っちゃおうぜ!と言う楽しい企画本。
これもまたある意味古典至上の話なんですが、他を下げないのでそんなに腹も立たないよ。
 ただまぁシェークスピアがすべての小説の祖、とか、古典も読まずに小説を書く人たちはすぐに消えていくとか、若干多様性に寛容でない発言も見られます。
読まずに書いた人は居てもおかしくないだろうし、黎明期なんて誰でもサンプル無しに書いてきただろう。そのジャンル初、とかね。
 ただ、そもそも日本の文豪、あるいは他国の文豪も、古典を読んで真似をしたなんてのが結構あるようで、幹を手繰りやすいようなのね。それを聞くと何が根底になるのか、誰それは誰派とか、分かる話も多い。
 確かにその言い方をしたら今の小説や漫画をさらっと書いちゃう作家さんも、小さい頃からこれを見て―とかで熱くなったものが似通っている事実はあるだろうし。
カテゴライズもオリジナリティも、捉え方次第であるが故に、出る話なんだろうな。

 実際この本の中の3人ですら、あれを入れろこれを入れろ、あーでもないこーでもないと決して一枚岩ではありません。
だからこそ議論が面白かった。
結構はっきりと自己主張で他の候補をぶった切るくせに、感情だけであの作家は嫌いだとかも言っちゃう。…いいんだ、それ。
(あと翻訳は誰版が良いとか悪いとか。)
 万人に読ませる文学全集の割には、3人色が強く出ている選び方で、成程、選者ってこういう所で量られるんだなぁと初めてどういう物なのかわかった気がする。
書いてる人でもないのに権威的に扱われるのは、このせいか、と。
己の本棚、教養、考え方を晒す仕事なのね…。
 タイトルだけ、名前だけ知っている人オンパレードですが、知らないなりに読んでるだけで楽しくなってくるので、この編集過程(この本のメインは実にそれ)を晒すのって、意外と面白いものかもしれない。
意図とか狙いを知った上で吸収すると言うか。
 気が向いたらこれに倣って読むのも乙かもしれないと思えました。
 とりあえず知られざる『○○(国名)文学』と言う括りで各文学のカテゴライズだけでも勉強になります。
 後半は日本文学全集がテーマなんだけど、これもより身近にあるだけ、今までの文豪ら作品の良い悪いの価値観が変わる発言に、わくわく出来ました。そういう見方もあるんだ~、と言う無知故に呑気な感想だけどね。

 興味深く読めた一冊。
実際この架空の文学全集、全部読んでたら、何年かかるんだろうね…。
 (しかし途中で笑えたのはうちの家人が大好きな一冊がコテンパンに批判されていた事。
しかもまさに大好きなくだりが全否定されていた。はは…だから本って好みの世界だよね。
好きな本を読めばいいんだよなぁ。)