元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
『罪と罰』を読まない

 このタイトル…。
 4人の作家が、「実は超有名どころの『罪と罰』を読んでないんだけど、作家としてまずいよね?でもせっかく読んでないんだし、読んでない時にしか出来ない遊びをしようじゃないか、そう、読まずに推理しちゃおうぜ!」なノリで、解答を見ずに(本を読まずに)色々な面から攻めて正解を導き出そうとする本です。
 4人全員分かればいいんだけど、三浦しをんしか分からない…。(と言うかもう彼女がいる時点で、このノリが解るけどな。そして偶然にも残りの内二人は『じつは、わたくしこういうものです』の人だった。) )

 対談形式なのですが、凄く解る展開で。
「ロシアでしょ?」「なんかおばあさんを殺す話」とかくらいの知識から始まるわけですが、皆それでも基本的に頭がいいなぁ、さすが作家!と思うのは、ヒントの冒頭の1~3ページだけで物凄い推理をかますところ。
 「舞台はサンクトペテルブルグ」「作者の生きていた時代は江戸時代位だから…多分話もそれくらい。いや、古い話も書けるだろうけど、見知った時代を書くはずだよ」「島耕作を読んでの知識だけど、サンクトペテルブルグは帝都だったみたいだよ」「でも主人公は随分うらぶれた所に住んでる」「主人公は学生ニート、家賃払えないらしい」「学生だってんだから、地方から出してもらえたんだな、そこそこの家柄のはず」などと、推測含めてホームズばりの人物像を導き出していきます。(その知識元が島耕作とか…。雑学の鬼だな。)
 ―まぁ、推理と言うよりは作家だからこそ想像力膨らんでここまでさらっと話が出来上がっていくんだろうな。
 笑えるのは同じくヒントのラスト1ページを見て「そうか捕まるのか」「少なくとも牢屋で後7年と言っているから、捕まった所で終る話じゃないはず」「殺人で7年は短いよね」「じゃあ、捕まって数年は牢屋編?」「この本、上下巻もあるけど、おばあさん殺して捕まるまでなら…捕まえる側の話もあるはずだよね?刑事とか」と、ミステリー寄りになっていくあたり。
私も正解は知りませんが、この流れ、面白すぎる…。

 最終的には答え合わせと言うか、各人本当に読んできて、読んだ後の本物の『罪と罰』についての座談会もやるわけですが、もうこの企画を最初同人でやろうとしていたらしく、よくぞ一般詩でやってくれたと言わざる得ない面白い本。
あまりに下らなさすぎて趣味で出そうとしていたらしいが、その下らなさが良いんだよね。読めてよかったわ。
 この本で私も正しい『罪と罰』のあらすじを知ったのですが、何と言うかどいつもこいつもな話で、名著ってやっぱりよくわからんわぁ。
えらいのはこの4人が、「こいつどうしようもねぇ!」と言いつつ、それが好きとか言えるところ。ううむ、どうしようもなさを愛せる器が欲しい。
 しかしこの本の良い所は、単にお話を知れただけでなく、推理時の知識として、作者の事も分析されているので、そちらも垣間見れた事です。いやー、意味もなく(勝手に想像された)ドフトに詳しくなっちゃう。
 ―まぁ、登場人物の名前を覚えられないのでロシアものは読む事ないんですけどね。