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清掃魔
清掃魔清掃魔
(2008/10/24)
ポール・クリーブ

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 表紙が怖いんですが。
しかし、予想以上に良かったです。
主人公が実は知能犯なのに精神薄弱を装っているのが面白いな。
 本作は吐き気がするほど痛い描写がリアルだし、しつこいくらいに書かれるし、障害者に対しての差別にも溢れているけど、そういう犯人の設定としては拍手するくらいの精緻さ。
あえて検閲削除の構えだしね。
確かに台詞だのを下手に改ざんするとこの作品の面白さは半減。(基本複数一人称の文体だから余計。)
特定の悪意なしに、『そういう世界観をもつ人間の話』として評価出来ます。
おかげで黒い物書いてる割に、後味が悪くないんだよね…。
 まずは主人公が陥る状況がいい感じに緊迫感。
実は主人公は連続殺人犯。
けれども、警察の捜査は、自分がやってもいない殺人も自分のものとして進んでいる。
自分のコピーキラーが許せない主人公。
まんまと自分に罪を被せてやろうとしている犯人は誰だ?
自分以上に賢いものはいないと信じている主人公は、自らも殺人犯として逃げながら、もう一人の殺人犯を暴いてやろうと奔走を始めるのです。
…自分が犯人で、同時に探偵!これはおもしろい。
上手い設定だなーと思いました。
完璧だと思っている犯人が、やってもいない犯罪なすりつけられてプライドが許すわけもないし。
 また、この主人公、周到に知的障害者を装って警察に清掃員として雇われてしまいます。
普段の障害者を演じる徹底っぷりも凄いんだ。
 故に愛情を示され親身になってくれる人間たちをうっとおしいと思い、内心彼らをバカにしながら彼はその知略で(また、漫画設定でなくリアルの範囲内で見事)警察を出しぬき、もう一人の殺人犯に近づいていきます。
そこに加わる謎の美女だのなんだの…中盤から彼の難題はハードルが高くなり、息をもつかせません。
一人称なので、余計に彼の賢さとか、解るんだよなぁ…。
 主人公は自信家だけど、厭味な感じがしないのは、多分自らを必要のために一見落しめられている立場の人間にも徹して演じられる所とか。無駄なプライドがない所。
また、徹底した客観視。
自分をも冷静に眺めているような神視点が故、他者への差別はすでに差別でなく、すべてをむしろ等しく邪悪な目で見ているとも言える所。
死こそが公平な唯一とか言うあれに似ている…か?
勿論悪人です。
 至る所に当たり前のように障害者と社会の関係が織り込まれてて、いちいち深い。
差別と区別にの違いに賛否両論が起こると思うし。
良いとも悪いとも言えないんだけど、この作者、綺麗事だけは書いてない気がする。
そして自らを正義ではなく悪と認識しながら、最後は誰のせいで衝撃のラストを迎えるのか―。
皮肉と、むしろの幸福?
そんなものに包まれた素晴らしいエンディングだと思いました。
あー、このライン、読みたくなったな。お勧めです。