![]() | 憑かれた鏡 エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談 ディケンズ (2006/08/22) 河出書房新社 この商品の詳細を見る |
『ジキル博士とハイド氏』のスティーブンソン、『ドラキュラ』のブラム・ストーカー、『猿の手』のジェイコブズ…ざっとこの顔ぶれ。おまけに選者がエドワード・ゴーリーと来たもんだ。(エドワード・ゴーリー氏はあまりにも奇異な作風で知られた絵本作家です。)
この本は、彼らの12の短編に、ゴーリーの挿絵が添えられた、これ以上にないゴシックホラーの本です。
ページをめくる度に、恐怖という絶対的な暴力があの手この手で襲い掛かってきます。ゴシックホラーってこんなに怖かったっけ?
重厚で、かび臭い空気。寄る辺ない暗闇。ねっとりとまとわり着く湿気感…。
恐怖の原点がそこにはあります。
例えばそれは、名を知る事で相手を支配できた魔術の時代。相手を知る事で恐れを払拭出来るという人間の些細な感情の仕組みを取り入れたもっとも原始的な退魔の方法。
人間は恐怖と戦うために物に名をつける、知ろうとする、コントロールする…。
やがて記号化され尽くしたモンスターを、私たちが恐れなくなったのは当然の結果と言えるのかもしれません。
ここに書かれた怪談たちは、それらがありふれたものになる前の時代を切り取った作品であり、あるいは現在にまで広く知られなかった奇異譚、忘れ去られた昔話なのでしょう。
影響することが出来ない、出来上がってしまった過去の空間に、囚われる…そんな読書の時間を、この本は与えてくれます。
ご注意あれ。
(なお、ゴーリーの絵はこれらよりも、手ずからの絵本作品の方が怖さが上だと思うですよ。)

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