魔法の奥義は使わないことだと唱える。
どこかで聞いたこんな話。
私はこの場所から一歩も動かずに、右のテーブルから左のテーブルへ。はたまた左のテーブルから右のテーブルへコインを動かすことが出来る。
そう魔法使いは言った。客人は彼の魔法を見ようと固唾を呑む。
「さぁ、では貴君にお願いだ。先ずは右のテーブルのコインを左のテーブルに置いてくれるかね」
客人は言われたとおりにコインを動かす。
ところが魔法使いはそのままお茶を飲み続けている。
客人がこれ以上待てないと魔法使いに急かす時、彼は静かに言うのだ。
「もうテーブルのコインは動いただろう。私の手を使わずに、ね」
これこそは魔法使いの行き着くべきところだと、私はいまだにこの話が忘れられない。
この使わない魔法のテイストがたっぷり詰まったのが
『黒龍とお茶を』
だ。
日本ではあまり馴染みのない初老の女性が主人公であり、お相手の男性もまた初老。ロマンスグレーだと思いねぇ。
この男性、彼が『黒い龍』である。
彼は昔東洋の龍であり、道を探求した者である。
それは西洋人が思い浮かべる東洋の幻想ではあるのだが、この小説の主題(なんとコンピューター犯罪)の中では映える映える。
何よりも彼は自分を龍だというが、文中一度も人間の形は崩さず、不思議な力も使わない。彼はただ、異様に長い指を持った、浅黒い東洋の老人、というだけの存在。
(ヒロインいわくピアニスト向きの指だという表現もまた良し。)
しかし彼は銃で撃たれても、窮地に立たされても、ヒロインのため、決して負けない心を持ち続ける。
使わない魔法、だ。
私の一番の小説であり、数少ない蔵書である。
(私は図書館寄生人間なので本当に惚れ込んだ本しか家には置かないのだ。)
ちなみに続編があり『Twisting The Rope』。日本語訳はされていない。うちの本棚に原書があるが、もちろん読めない。(笑)

↑本当の強さがここに。ならワンクリック♪
どこかで聞いたこんな話。
私はこの場所から一歩も動かずに、右のテーブルから左のテーブルへ。はたまた左のテーブルから右のテーブルへコインを動かすことが出来る。
そう魔法使いは言った。客人は彼の魔法を見ようと固唾を呑む。
「さぁ、では貴君にお願いだ。先ずは右のテーブルのコインを左のテーブルに置いてくれるかね」
客人は言われたとおりにコインを動かす。
ところが魔法使いはそのままお茶を飲み続けている。
客人がこれ以上待てないと魔法使いに急かす時、彼は静かに言うのだ。
「もうテーブルのコインは動いただろう。私の手を使わずに、ね」
これこそは魔法使いの行き着くべきところだと、私はいまだにこの話が忘れられない。
この使わない魔法のテイストがたっぷり詰まったのが
『黒龍とお茶を』
だ。
日本ではあまり馴染みのない初老の女性が主人公であり、お相手の男性もまた初老。ロマンスグレーだと思いねぇ。
この男性、彼が『黒い龍』である。
彼は昔東洋の龍であり、道を探求した者である。
それは西洋人が思い浮かべる東洋の幻想ではあるのだが、この小説の主題(なんとコンピューター犯罪)の中では映える映える。
何よりも彼は自分を龍だというが、文中一度も人間の形は崩さず、不思議な力も使わない。彼はただ、異様に長い指を持った、浅黒い東洋の老人、というだけの存在。
(ヒロインいわくピアニスト向きの指だという表現もまた良し。)
しかし彼は銃で撃たれても、窮地に立たされても、ヒロインのため、決して負けない心を持ち続ける。
使わない魔法、だ。
私の一番の小説であり、数少ない蔵書である。
(私は図書館寄生人間なので本当に惚れ込んだ本しか家には置かないのだ。)
ちなみに続編があり『Twisting The Rope』。日本語訳はされていない。うちの本棚に原書があるが、もちろん読めない。(笑)

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