元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
モンスターズ

 アメリカの現代小説家らがモンスターテーマの短編を書くんだけど、こういうのは好き。日本で言えば異形コレクションだよなぁ。
ただ、海外物なので、若干ノリが違ったか。
 モンスターその物よりは、それに心寄せて狂っていく、或いは歪んでいる人間の心なんかが主体で、うーん、いや、もっと単純明快なモンスターもので良かった。モンスターの皮を被った単なる人間小説、としか言えない物が多かったんだよなぁ。
少年が鬱積で自分をモンスターだと思い込んでるとか、モンスターが好きな少年だとか、いじめられている少年がとか…。少年ばかりだな。

 ただそれであくまで人間側として面白かったのはゾンビから逃げる人間集団を書いたお話かな。あれは定番のネタだけど、極限状態での行動が醜ければ醜い程、読めちゃう。(気持ちの良いもんではないけどね。)
 あと、オチの寒々しさが良かったのが泥人間のお話。ネタは『ゾンビーノ!』にも通じる部分があるんだけど、こっちは完全にホラーテイストで落としている。

 なお、当然ここに出て来るモンスターは海外産のものですので、ドラキュラ、フランケンシュタイン、狼男に透明人間、後はミイラに半魚人と、マイナーなのはほとんど居なかったな。
チュパカプラレベルでさえいない。(ゴジラとか出てくるのが笑えるが…。)

 ピンとこない話も多かったけど、アプローチの仕方がアンソロジーだけあって十人十色、バラエティには飛んでいると思います。
ホーンテッド・マンション
ホーンテッド・マンション (ディズニーアニメ小説版)ホーンテッド・マンション (ディズニーアニメ小説版)
(2004/03)
ジェイムズ トーマス

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 おなじみディズニーのアトラクションです。あれって話があったの?それとも後から作ったの?どちらにせよディズニー作なわけでしょうか。(―って、やっぱりアトラクションありきでその後作品化か。パイレーツ・オブ・カリビアンもその流れだったとは…。)

 ディズニーでは1、2を争う程好きで印象深いアトラクションなのですが、あれって屋敷の999体の幽霊が1000体目を待つ―と言う話だったはず。
 が、この話はその設定はまるで無しで、同じ舞台装置を使って全く違う話に仕上がっております。
極自然に要素を入れ込んで仕上げたのは凄いな。
 ただ、映画の小説本ですので、そうか、主役がエディ・マーフィーか。彼は好きですが山寺さんの声のせいで全部持って行かれるなぁ。頭の中で彼の台詞だけ山寺さん声脳内再生です。

 ストーリーは至極簡単。
多分以下の羅列で全ストーリー展開把握出来るでしょう。
●家族4人出られなくなった洋館。
●不気味な主人と執事。
●100年も前の主人の亡くなった恋人である絵画に描かれた女性が妻そっくり。
―あ、ここら辺で想像ついた?序盤の説明なんですけど。

 さすが海外ものと言えるのは、これでそっくりな女性が娘の方でなく、妻の方と言う所。ロマンスのお相手は大人の女性なのよねぇ…。
 御期待通り主人は100年前の主人と同一人物で亡くなった恋人を復活させたい。
とか言いつつ、そっくりの妻をそのまんまその恋人だと思い込んでいる節がありますが。
え?生まれ変わりとかでなく?
それとか体を利用して恋人の魂を入れ込みたいとかでなく?黒魔術に傾倒している設定は使わないのか。
 なんと妻を恋人役に仕立て結婚するようにさせるのに、子供を人質に取って脅すと言う精度の低い仕上がり。
…中身が違う人物のまま、恋人を演じさせて何がいいんだろうね…。
 大体他人の妻になっている事は問題ないのか。裏切られたとか。
そして逆上して夫を殺そうともしない。屋敷の外に放り出しただけ。
ディズニー…。

 唯一これは!と思えた部分は執事が黒幕だった事。
ああ、これは単純にして酷い話だ。
 しかし執事、そのせいで本末転倒と言うか、この家の没落は誰のせいなんだよ…。
 主人が基本良い人だったのも、メイドと召使いが主人公側の味方と言うのもなかなかホラー物にしては珍しいと思いました。
 アトラクションに出てくる水晶玉の魔女の存在とか、落とし込みにくい所もきちんとしてたのも読みやすい。
ラストの扱われっぷりは平和すぎて和んだし。

 あのアトラクションのおどろおどろしさに対して、えらい軽いノリのホラーコメディ(らしい)ですが、子供向けだとすると非常にシンプルで展開は読めるものの、それでいてホラーに必要な物は兼ね備えているので、充分な一冊だと思いました。
さくっと楽しみたい時に。
悪魔がぼくをよぶ
悪魔がぼくをよぶ (ポプラ社文庫―怪奇・推理シリーズ)悪魔がぼくをよぶ (ポプラ社文庫―怪奇・推理シリーズ)
(1988/04)
H.P. ラヴクラフト、榎林 哲 他

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 魔法の庭シリーズの他を読んでみたくて探していたらえらいタイトルが目に着いた。
しかもこれ…ラヴクラフト?!えっ、ポプラ社がラヴクラフトなんか扱うのか?!!Σ(´Д`;)
(怪奇・推理シリーズでしたが…。)
あまりのギャップとタイトルの三流ホラー漫画臭に思わず読んでみた。(また表紙絵が失礼ながらノスタルジーなチープさと言うか…。お見せ出来ないのが残念。)
 ラヴクラフトと言えばクトゥルフでイア!イア!で狂気の山脈と、そんな程度のイメージですが、はたして中身は寄り抜きらしく、『悪魔がぼくをよぶ』『海からきた魔物』『冷房室の怪』の3編。しかしこて、いくら子供向けの本とは言え、原題がどこにも解説にも書いてなくてどの話の事かわからなかったり。
 多分前知識的にはそれぞれ、『The Shadow Over Innsmouth 』か『Dagon』、『Cool Air』と言った所なのだけど表題の『悪魔が~』はどれの事だか。(正解は『Thing on the Door Stop 』らしく。中身読んでもあんまりピンとこないなぁ…?)
 読んでみたイメージは、意外と狂気とまでは行かない恐怖小説なんだな、と言う所。翻訳の仕方や物語の選択にも寄ると思うのですが、もっとグログロしているのかと思ってました。今の時代の日本の幻想・怪奇小説をたくさん読んでると、彼を特別視するまで行かないわけで…。まぁ当時これを見せられていたらかなりおもしろいとは思います。単純な化け物話とは違う恐怖は確かにある。
 多数作品がありますので、ディープに読み込んで行く事で、たくさんの信者が生まれていったのでしょう。(それが故、いくら子供向きとは言え原題はきちんと表示しておいて欲しい所。ここからハマる人間も居るのだからさ。今後の道標は挿しておくべき!)
 信者にはなれませんでしたが、普通に安定して読める作者さんだと思いました。
世界のゆうれい話
世界のゆうれい話 (民話と伝説 呪いの巻物)世界のゆうれい話 (民話と伝説 呪いの巻物)
(2006/03)
白木 茂

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 シリーズ名、『民話と伝説 呪いの巻物8』。(笑)
児童書です。
何でこれを借りたかと言うと、中に編さんされている『ゆうれいの出る家』と言う物語を読みたくて。
 これ、私好みの設定です。
とあるおどろおどろしい幽霊屋敷に住む若い学者の下に、賢く明るいメイドがやってきて、次々と幽霊を追い出し、取憑かれていた学者を開放するお話。
 その方法が別にゴーストバスターズでもなんでもなく、ただ締め切っていた窓を開け、太陽の光と爽やかな風を通し、ひたすら掃除して幽霊の出るような雰囲気を排除しまくっていくと言う物。
…オバケなんていないさ!の世界…。(//▽//)
(まぁ作中、幽霊と会話してますけどね。)
 あらすじ聞いた時には、学者がヒッキーの世捨て人かと思いきや、ちゃんと幽霊に悩む大人し目の金持ちと言う感じでしたが。
ロマンス路線も押さえていて、最後二人は結婚するよ!
(しかし本当のホラーは「あなたと私が結婚する事は最初からわかっていたわ」と言うメイドのラストのセリフですが…。このオチ、いろんな意味にとれる。(苦笑)なんせメイドの祖母も同じく若い頃幽霊退治をしたという血筋。)
しかし基本的に賢いメイドものは大好きだ。
 他にもラングのまだ読んだ事のない作品もあって、いい拾いもの。ラングのもはやりホラーだったけど…。
英国幽霊案内
英国幽霊案内 (幽BOOKS)英国幽霊案内 (幽BOOKS)
(2010/10/20)
ピーター・アンダーウッド

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 表紙が素敵で借りてみたら、内容充実、読み応えたっぷりの辞典みたいな案内書でした。
これは…本気。
まぁ向こうは幽霊が文化なお国柄ですからね、曰くも由緒正しく書けるわ。
日本の廃屋とかと年季も違うし。
 洋の東西問わず古過ぎる怪異はもはや身近なオカルトを飛び越して別の畏怖を感じる存在にもなると思う。自然とか、そういうものサイドに近いよね。
そうなると怖さの種類が微妙に違って、冷静に観光出来ると言うか。
20年くらい物の廃墟での噂話物件と、数百年単位で保存されているいわくつき廃墟じゃ、前者の方が踏み込みたくないもん。全力でノーサンキュー。
とは言え、そこで殺人が…って類の物は総じて気味がよろしくないのは当り前ですがね。
 異国情緒とオカルトの融合を楽しめる一冊。
分厚くて読破するのに相当な時間要。