元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
敗者烈伝

 敗者から歴史を学ぼうと言う本。
割とたくさんの敗者が並ぶのですが…ただ勝ち負けって、どの部分で時を切り取るかで印象変わらない?
 死ぬ時の事を基本的に言うのですが、殺されたら負けだし、病死でもその時の状況、はたまた何を成しえたかで言っても相当歴史に残る事しないと、凡人とか、小物とか、結構言われまくりです。
…うん。なんか、空しい…。
 逆に勝者って何だろう??
 価値観もありますが、そもそも歴史に学んで勝つってのは、決して全く同じ状況はないのだから、相当応用が利いて行動出来、そこに運の良さも必要な芸当だと思います。
 そして信長とか、光秀とか、有名どころはネームバリューで読めたんですが、あまり知らない人の話は乗り切れなかったな。
あと、詳細は著者が書いたこういう本まで―みたいに結ばれている話がいくつかあって、ちょっと醒めちゃう。参考資料と言うか、何故か宣伝に思えた。
(それでいで膨大な資料のため、参考文献は載せませんと言う巻末。なかなかはっきりとした考え方のようで…。)

 まぁ、流し読みでさらっと。
勉強の為でなく、お話としてだけ読みました。
本当に偉いのか

 歴史に名高い人物は、周囲からその偉業や生き方を持ち上げられてはいるけれど、そういう人たちって、『本当に偉いの?』と言う本。
あら楽しそう。
 著者の独断と偏見で語られるわけなので、その分えらい派も独断と偏見で、判定はどっこいどっこいかも知れません。
ただ、実際にその人物がやっている事を知るというのが、まずは判定の第一歩。
 知らないのに名前だけ凄い凄いと独り歩きしていても確かにタイトルの様な疑問は沸いてくるよなぁ。

 それにしてもなかなか大胆に『明治時代に英語で本を出した辺りは大体偉いと言われている』から始まって、名だたる文豪をばっさばさ。
 続く歴史の有名人も、器が小さいだの、大したことはやってないだの、本気で何の気負いもなく腐しています。
…凄い。ある意味、ここまで世間の一般的な人物像を否定出来るって、凄い。
 何せこの人、まぁ個人的な感想という事はさておいて、批判する以上、きちんと作品は複数、時には英語で読むわ、歴史は調べるわ、決してイメージや少ないエピソードで物を言わない。
 たまーに、自分が好きだった人物を嫌いになったり、もっとこういう人が偉いと言うのもあって、思う所があれば割と柔軟に意見も変える。
 あー、例え自分と意見が違っていても、感情的な部分以外はフェアっぽいな。
好き嫌いなんてそれこそ個人の好みだしね。
 何よりも、『嫌いなものは嫌いって言っていいんだ』と言う妙な安心感が得られる…?

 同意する本と言うよりは、思想や言論の自由を見た本です。
幕末三百藩古写真で見る最後の姫君たち

 伝記物語の中でも実際に写真で見れると言うのが面白そうで。しかもそれが華麗なる姫君たちですよ。

 幕末との事で着物、一部洋装に身を包んだお姫様たちを眺める事が出来たのだけど、モノクロ写真が多いせいか、意外と着物は地味に見えた。
もっと簪やら何やら飾り立てているのかと思ったら…。(洋装は走りだったのかごてごてしてるけどね。)
 まぁ武家の娘という事で質素な部分もあるのかもしれない。
 何よりも皆…小さくて華奢だねぇ。着物故に強調されたなで肩のこじんまりした所や、薄い正座の厚み。まぁ日本っぽいわ。羨ましくもあり、逆に貧相にも見える。
 実際に見てみると空想の世界とは違い、当然生身の人間で、身分がお姫様と言うだけだから、おそらく身のこなしや品位は素晴らしかろうが、持って生まれた器量が絵に描いたようにお姫様かと言うと全員がそうではない。
 何と言うかこれは想像だけど、育まれてその雰囲気を内から醸し出してる様な外国のお姫様たちと違って、日本のお姫様は一見庶民と変わらないんだよね。
ハッとして美人だ、粋だと思うのは、元芸者とか、確実に玄人さん。(そこから縁談で姫君となるパターン。その手の美人母から生まれている娘も華やかな感じ。)
 この時代、武家の娘と言うものは、ちやほやされるのと対極にあるような、立派であれ、方々の見本であれと、お飾りの姫様然とした育てられ方はしていない様な気がする。
どの写真もふわふわした感じが無い。(この時代の写真は…カメラの前でずっと動かずにいた時代かな?そのせいで無表情気味という事も有ろうけど。)
 かろうじて少女である姫君たちが、幼いながらすました顔で一生懸命お行儀良くしている所が、身分の高さを享受している存在だと感じさせてくれるかも。

 何にせよ、ここに載せられたお姫様たちは、後世、立派にお家と子供を守り、夫に遣えと、芯の通った女性たちばかり。
写真で見ると、血の通った分だけ、物語よりも現実的なお姫様たちの生活が偲ばれます。
私たちが『お姫様』と言う単語にファンタジーを抱きすぎなんでしょうけどね。
 眺めていて楽しい本でした。
幕末明治異能の日本人

 思いがけず面白かった!
タイトルから期待もしていたんだけど、中身は新聞連載…かな?1ページ毎にお話は区切られているのだけど、一人の人の色んな時系列や、ちょっとした関連人繋がりでのエピソードをこれでもかと毎度紹介してくれる。

 私はこれで二宮金次郎が何をした人か初めて知ったよ!…凄い人だったんだねぇ。
学校の銅像の定番ですが、かと言って本当に学校にあるのを見た事もないし、なにせ芝を担いでるイメージしか…。
まぁ畑山の仕事をしながら、時を惜しんで勉学に励んだ人と言うのは解る。
 所が長じてはこの人、農民なのに色んな藩から助けを乞われ藩や村の財政難を次々と黒字に変えていったのね。その数も数百と。
そりゃぁ感銘を受ける人が、直接にも、後世間接にも出来るわけだ。
…何でこの人、現在ではそんなに生涯を語られる事が無いんだろう?

 もう一人は幸田露伴。
尾崎紅葉とセットでしか覚えてないし、書いたものなど実際は知らないんだけど、物凄く博識の人なのね。
文学どうこうじゃない。ジャンルを問わず知らない事が無いくらいと言うのがいいわ。
 茶坊主家系で、百科を知るのがお家芸…って、茶坊主ってエリートなのね…。
 それでいて割と大胆な生き方をしていて、ふらっと旅に出たり、探求故の居付かずな生き方をしていたと。
 時折露伴の書いた作品の話も入ってくるのだけど、いや、気になる。
しかしあんまり収録されてなさそうな作品だったり、また露伴の書く作品は難しい文体だったりと言うのもあるらしく、手をこまねいちゃうな。

 ここまで読んで、この人の何かを紹介する文章は、物凄く読み手の興味をそそるなぁ、と感じる。
とにかくエピソードの多さは勿論、関連した人物の事も掘り下げながら、当時の文化人たちの生活を垣間見せつつ、その人物を更に知りたくなるような問い掛けをも交えて文章が提示される。
 面白くて、久しぶりにゆっくり読んじゃった。
 タイトルの様な雑学的な知識を吸収する目的は二次的になり、むしろ読み物として楽しむ方が第一義となった一冊。
一挙両得といった感じ
教科書では学べない世界史のディープな人々

 まぁ基本に忠実な教科書の中身すら、ろくに覚えちゃいないですけどね。
 で、ガンガン読んでいくわけですが、最初に微妙な変型サイズ本と文字のレイアウトだったのが読み辛さを感じさせてくれる。
何だろう??視線が動かし辛いなぁ。
こんな内容と関係ない所で疲れてる場合じゃないわ。

 さて中身。
ディープ…ではあるけど、チョイスと言うか、このタイトルに入れて並べると、どうしても比べざる得ない『教科書』と言うワード。
 名前と簡単な経歴だけで進むが故に『圧倒的な数』の人物の掲載がある教科書。それと張るには掲載する人数が、あまりにも不足すぎてお話にならない―と思えちゃうんですよね。
 勿論このタイトルはそこを対比させてるわけでないんですけど、なんか如何にも『教科書では学べない有名人のディープな話』とか『歴史を蔭で動かした人の話』とか、勘違いされて期待されそうなタイトルじゃありません?
 『教科書』を逆手に取るタイトルはキャッチャーかもしれませんが、これ、詰まる所『そんなに有名でない人たち』の話という事です。

 ではどれくらい『深く狭く』か、と言えば確かにそうなんですが、恐らくだからと言って一人一冊書くには圧倒的に量が足りず、何人かまとめようにもテーマが一致せず…正直この寄せ集め感が『雑学本』のジャンルを匂わせます。
 これ、毎回毎回の歴史コラム寄せ集め、とかならまだ分かるんですが、多分書下ろし(?)と思うんですよね。
何と言うか、最初からこの形を完成系として組んだのなら、一冊の本としては帯に短しタスキに長し感が…。
 内容が悪いと言うわけではありません。
ただ上記のような理由で、非常に中途半端な読み物なのです。
 私的には、さらっとした雑学本も好きだし、とことん型の伝記、歴史本もドラマティックで好きだし。
その中間は…うーん、不完全燃焼感が出てきちゃうかな。
物凄い個人的な合う合わないの話なんで、下らないとかそういうわけじゃないんだけども。
 一番いいのは、大まかに書いてるんで気になった人が居たら細かく調べてみるといいよ、と言うガイド本扱いかな。

 一人一人の人生は、これだけ人の一生を波乱万丈に高密度で紹介するのだから、何かしら興味深いものばかりです。
ただし、他の本でも読んだようなそれなりに名の知れた人も居れば、逆に歴史の狭間に埋もれていそうな人も居るので、特にこれが世間的に言う所の歴史の勉強になるかと言わばまぁ蛇足も良い所でしょう。
 完全に趣味でその時代が気になるとか、世界の文化の昔を知りたいとか、そう言う興味を『こういう人が居ました』の中に解を求めたい人向けの一冊。