元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
ホーダー 捨てられない・片付けられない病

 アメリカの捨てられない人たちにはこういう名前が付いてるんですね。ホーダーと言うそうで、立派な病気として研究対象にされている。
 色々と違うなぁと感じるのは、向うは精神的な事で病院にかかるのも抵抗がないし、自ら研究対象に…と手を上げて来る人がたくさんいる。
それで自分も治れば万々歳だし、研究者も研究対象に事欠かず、むしろ応募者が多すぎて驚くんだそうで。
 しかし何せスケールが日本とは違うので、溜め込む量は持てる空間に比例し、酷いのになると、家が一つ埋まると次の家を買い…と4軒5軒をゴミ屋敷にして住み替えていく人も居るようです。
…買えちゃうのね…。
 中の様子はハムスターの巣穴の様に例えられ、ヤギ道と言う移動経路は想像だに容易い。ここら辺は洋の東西を問わずだな。

 しかし研究だからか、割と自己分析の進んでいるホーダーの人も多く、治そうとする意思はあるみたい。
ところが治療方法に諾々とは従わず、自分の主張は全開の人も同じく多い。
捨てるどころか、買い物依存症の人も多いので、『今日は一日買い物をしない日』と言うのだけでも苦行となるそうで。
 彼ら彼女らの言い訳を聞いていると、本当に信じられない思考回路をしているのですが、言わせてみれば「何でもかんでも捨てる」こっち側がおかしいと言うのも、隔たりを考えると理解出来ます。
要はライン引きが全く違うのね。
 大事な物、必要なもののキャパや、ないと困ると言う不安。そりゃぁ要る物を捨てている様にも、要らない物を溜め込んでいる様にもお互いそう見えるわ。
研究対象の生き方を見ていると、どうしてもゴミ屋敷と言うのは結果であって、そこに至るまでの問題点が個々に違うと思われます。
 そうなるとこれは病気そのものと言うより単なる病気の結果と言える。
本来は強迫性観念とか、潔癖症、代替行為…と治療すべき別の要因は多いのでしょうね。(しかしコレクターもこれらの中に含まれると言うのが盲点でした。)
 恐らくは目の前に物理的に障害を築き上げる『ゴミの山』そのものが問題に見えるけど、それらは根本じゃない。だから「捨てられない…」と悩む前に何故捨てられないのかの原因を究明して目を向けなければ進展せず、それで皆「何故かわからないけどゴミは減らない」となりがちなのかと。

 割と日本で流行っている断捨離系は、対処療法寄りなんだろうなぁ…。恐らくは言葉の上滑りが多い印象。
本当に断捨離(ひとつひとつの漢字の意味から)を考えて根本療法としてやってる人は意外と少なそう。
 成功と失敗の分かれ目はここなのかもね。
 まぁ日本でいう所のゴミ屋敷と、ホーダーは若干違うらしいですが。
なんにもない部屋で赤ちゃんを育ててみれば

 ミニマリストは果たして子育てに対応出来るのか、的な。
今までのブログの流れをざっくり読んでいるので、どんなもんかと手に取り。
 うーん、残念な事に丸々コミックエッセイじゃないのね。文章と半々くらいか。テンポが掴みづらいし、この人の売りはコミックエッセイなのでそっちで読みたかった。

 肝心の子育てですが、そりゃぁ荷物はどんと増えるよね。
今まで子供がいないから家を綺麗に保ててる、子どもが居たら散らかり放題とか言われていたようで、この人も結局一時的にそうなってしまったようです。…まぁ世の中には優先順位があるもんね。
かつ時間も有限。
 しかしある意味で汚屋敷出身のトラウマで綺麗に保つことに強迫観念を抱いているのか、散らかり始めた時は一種のクライシス状態を経験したようです。でもある程度すると慣れちゃうんだそうだ。
 それはどっちの意味でもとれるなぁ。
人間どうとでも暮らしていける。汚さなんて個人基準。今までどんな風に生きていようが、落ちる時は落ちる―。
―まぁ、落ち着いたら元のミニマリストにすぐ返り咲いたようですが。
 確かに子育て中で精神的にも体力的にもやられている所に、日々ルーチンを増やしちゃいけないよね。
それでイライラ、トゲトゲしたようだし。
 人には容量があると言う話でした。

 あと荷物が増えて掃除にしにくい事に気づいた―って、この人レベルが今更何を言っているんだろうと思った。
掃除のしやすさを求めてor実際荷物減った時に掃除しやすい!となるんじゃないんだ…。
(と言う事はこの人、本当に物を減らす事に実用とかが第一に来てるんじゃないのね。自分で『捨て変態』と名乗るだけあって、もう性分がそうなんだ…。)
 うーん、まぁ、ちょっと期待していたような内容じゃなかったな。てっきり物を増やさないまま「こんなんで赤ちゃん育てていけるの?!」と言う驚きの生活を拝めるのかと思っていたら、(当たり前だけど)ミニマリストも普通にテンパる人の子でした。
 それでもこの人基準で荒れただけで立て直しも早いし、当然一般家庭のどこよりもすっきりした生活してると思います。ミニマリスト名乗れるレベルはさすがだわ。
帰ってきた海馬が耳から駆けてゆく5

 まぁ全然知らない人のエッセイなわけだが。
パラパラと捲ってみて何も考えずのんびり読めそうだったから。

 いやぁ、最初から飛ばしてくれます。
50歳を前にオタク人生ぶっちぎりで、親しい友人の誕生日パーティーを計画する著者。
悪ノリ大歓迎で、当人(独身)にウェディングドレスを着せて、80人を呼び集め…と。
抱き枕のプレゼントやフィクションスライド。もはや誕生日ではなく架空結婚式と言わんばかりのイベントに。
…いいなぁ。気持ち良いわ、歳を取っても皆でオタクで悪ノリ。

 他にも大体こんな感じで色んな話が。家族の話もなかなか。
実に爽快に読ませていただきました。(って、この人BL作家なんだー、へぇ。)
おだまり、ローズ

 タイトルから溢れる気品と好奇心。
お貴族様に仕えた、本物のメイドさんのお話です。
これは期待。

 著者は、母親もメイドだったところ、自分もメイドを目指し勉強していったのですが、理由がなかなかユニーク。
旅をしたいから、との事。
成程、お付メイドになればご主人様の旅行に付いて回るもんなぁ…。だから勉強したのは外国語と言う計算された人生設計です。
 そしてお付きメイドになったと言えども、主人は主人、メイドはメイドと、卑屈でない互いの領分を割り切り、時に主人と大喧嘩も。
口答えだけでもすごいのに…。
イエスマンの取り巻きが嫌いなご主人らには気に入られたようです。

 そう、メイドさんは別に奴隷でもなんでもなく雇われているだけなので、嫌ならやめるし、条件の良い別のお屋敷に勤め替えをする事も頻繁にありました。
 この人が長く務めたお屋敷の女主人に、タイトルである「おだまり、ローズ」と言うお約束の言葉を何度ももらっていたようですが、これはまぁメイド風情に何かを指摘されて図星の時に、主人が威厳をもって揚げる白旗みたいな言葉でもあったようです。じゃれ合いなんですね。
ユーモアたっぷりに罵り合う女主人とメイドの会話は読んでいて和みました。
 なおシチュエーションや事件は面白いのですが、それぞれのお屋敷の登場人物と相関図のややこしさが多少あり、あと時系列もたまに崩れるので、唯一その点だけが読み辛くもあったかな。

 いやぁ、しかし本当の屋敷の長である旦那よりも、女主人が屋敷を回すと言う意味がよく解る生活譚でした。貴族の威厳と世間に対するずれっぷり、気取る所と気取らない所のライン―ぐいぐい読んじゃった。
 最後辺り、彼女は女主人が死ぬ時までメイドであり続けるんですが、一種独特な関係性に、しんみりもくる。
なかなかないような人生を垣間見る事が出来る一冊。
 他に、執事の本もあるようです。
みつばち高校生

 実在する高校の部活動です。なんと養蜂。すごいのがあるねぇ…。
クラブの名前は『ハッチBee8』と、最初聞いた時はくどいなぁと思ったのですが、どれも蜂にかけてるどころか、3つの蜂で『みつばち』ともかかっているらしく、思わず納得。

 さて、とある女子が思い立ち養蜂部を立ち上げる所から語られて行くのですが、まー、青春と言うか何というか、頑張りやチャレンジ、友情、そして勿論失敗、生命の死と言うものは生き物を扱う以上予想出来る話なんですが、クラブ内の分裂まで書かれているとは思わなかった。
実名で書いてるんだけど、まぁよく書いたなぁ…。
 それだけその後の団結があるから書けるんだろうね。嫌な記録が残る事にもなるだろうに、本人たちの許可が出るのも器があると思うわ。

 そして西洋ミツバチと日本みつばち、自分なら日本みつばちだなと思っていたんだけど、彼女らの選択も日本みつばちで、これがまたそれぞれに良い点と悪い点があるらしい。
 西洋ミツバチは逃げないけど弱い、日本みつばちは丈夫だけど逃げる。―この逃げるって何?ってのが、巣に居付くか居付かないかなのです。
日本みつばちは巣が気に入らないと、全員でいきなり…消えるらしい。
 あと、西洋ミツバチは買えるらしいんですが、日本みつばちは持ってる人に群れごと分けてもらうか、野生を捕まえて来るかしかないと。(その後巣が気に入られず逃げられたらおしゃか。)
 前途多難ながら、園芸科の学生たちだったので、みつばちがよってくるフェロモンを出す花を植えるとか、なかなか鋭い方法を出したり、昆虫好きが居て天敵だけを捕まえる方法を知っていたりと、知識も豊富で驚いた。
(この天敵の話、いわゆるスズメバチなんだけど、トラップを仕掛けるのに蜜だけだとみつばちも捕まっちゃうけど、酢を入れるとみつばちは酢が嫌いだからトラップに入らないとか。)
 しかし蜂の研究上、憎っきスズメバチにも研究家が居て、その重要性を聞いたりして、こうなってくると単純じゃないなと思う。

 この部が有名になったのは、自然を考える学生のシンポジウムのようなもので、全国優勝を飾った事。
単なる養蜂でなく、地域や環境を考えた取り組みまでやってるんだよね。
部発足からのわずか3年の快挙。
クラブのヒストリーがこの本で解ります。
 エピソードでは、部員たちの卒業後、進路等が解るのですが、やはりこのクラブが多大な影響を与えていると分かる、その多彩な選択肢ときたら…。皆、なりたいものをきちんと掴んでいるのがまた熱いです。
 読み易く分かり易い内容で、みつばちも思わず可愛くなっちゃう一冊。
あっという間に読了。