元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
あらすじで読む日本の名著 No.3

 日本文学紹介本も、3巻目。
ここまでくると知らないタイトルもあるかしら?と読み始めましたが、まぁ段々知らない感じになっていくな。
 とは言えようやく出てきた有名どころもあり、珍しく読んだ事のある話も出てきたのですが、もう感想と言うか目の付け所が違いすぎて。
読めば読むほど自分と馴染まないと分かっていく文学の不思議。苦笑するしかありません。

 でもやっぱり名著と呼ばれているものの、あらすじくらいは知っておくと安心する部分があります。
どういうつもりで作者が書いたのか。色々理由や本人の境遇があったと知る、その部分の方が今回は面白かったかな。

 ところで『地獄変』はあらすじを知ってなんかえーっ、となりました。…酷い話やで。あれでどこが名君なのか謎だわ。そしてホラーとしか思えない筋。
衝撃でした。
民間防衛

 byスイス政府。
またとんでもない本を読んでいます。
 これね、スイスが国民にいざって時はこうして生き抜け!と教えるために作ったのですよ。
だから『都市型サバイバル』が学べる本なのです。
…なんと。
 大自然の中のサバイバルとは違って、都市型と言うの、より役に立ちそうじゃありませんか?

 とは言えこれは国として一致団結、機能して行こうと言ものですので、個人で生き延びるものというよりは、いざという時に国民全員が知るべきお約束が書かれている形です。
これねぇ…日本も欲しいわ。
 スイスは侵略せねど無抵抗ではない、徹底抗戦すると言う国ですので、有事(自然災害だけでなく)には国からの連絡がどこへ行き、どう伝搬され、お近くのどこどこに通達が行きますとか、こういう人はこういう役目を果たす事になりますとか。
そうだよなぁ、こういう事は先に徹底しておかないと、連絡が断たれて烏合の衆になるのが大打撃だもん。

 勿論備蓄の事やなんかも書かれますが、火災の時の消火の仕方(屋根裏が燃えた場合とか、場所により説明。扉を閉めたままとか、事細か。)や放射能に汚染された時の対処法など、身を護る事に徹底して頁が割かれています。
本当に、日本もこれ、作って国民全員に配るべきだよ。
 果ては混乱時に、何の情報を信じるか。
敵の偽情報を見極め、安易に内側から崩される様な国になるなと、もうシビアな、でもそんな事まで想定に入れている事に本気度を感じた。
 これだけするのにはいろいろ設備も足りないけど、有事を知ると言う普段からの心構えが何よりも大事だなと思いました。
情報や知識こそが身を救う。
人間臨終図巻 1

 あ、著名人が亡くなった時の記録本って、もしかして元祖はこの人だったのか?
少なくとも有名だったようです。見落として他のこれ系の本をメモしてたけど、山田風太郎が書いているなら断然こっちだな。と大まかにこのジャンルを腹八分目には食べたつもりでいたのに、おかわりもう一杯。(代わりに他の似たような本はもう要らない。)

 一応続いていくんだけど、さすがに1巻目だけで良いかと言うラインは引いておく。(だってめちゃくちゃ長くなるもん。)
 この本、何が凄いってまぁ取り扱ってる数です。
段違い―と言うか桁違い。923人と言う恐ろしい数。
…ぇ?調べたの??この人、何?作家だよね。何この自由研究…。
 さらに面白いのは、これが『死んだ年齢順』に並んでいる所。
若い順から大往生までね。
必然的に1巻目は幼い頃からまだ若い内に亡くなられた方が並びます。
その並べ方は解りやすいよね。
 「あの人とあの人は同じ歳に」、とか「あの人は自分と同じ歳で」とか、すごく興味が持てる。
 普通は歴史的に起こった順と言う時間軸を使う事が多いのに、並べ替えも大変だっただろう。
 一人一人にそう多くのページを割いていないものの、数の力は凄く、読んでいてもう目が疲れて、情報量が多すぎて…まともに読み切れませんでした。
 この発想と、調査と、その成果。
感心しかない一冊です。
 自分と同じ年齢位の所を読むのが一番面白いと思います。
栞子さんの本棚 ビブリア古書堂セレクトブック

 ビブリアシリーズは人気の声を聞きますが特に食指が動かないままで、何故か作中に関連深い作品を集めたセレクトブックだけを読むと言う。
いや、中の短編のいくつかが、ちょっとだけ読んでみたいものが多かったんだよ。
うん、文豪の辺りね…。
 気になるんだけど高い確率で一冊読み切る程自分の好みじゃないだろうと予想しているので、ちょっとだけ、ほんの一篇だけお試ししてみたかったの。
まぁ案の定と言うか、全然肌になじまなかったわけですが…。

 何と言うか、だからどうしたと言うあの文学特有のオチ無し感がやっぱりダメで、特にこれは短編は全部分だけど長編は一部抜粋と言う形がダメだったのか、不完全燃焼感がすごい。(え?一部なのかどうかは書いてくれてないの??え?)
 おかげで本当にそこで書き終ってるんだか謎のまま。ほら、文学って突然終わったり、未完のが多いから…。
『蔦葛木曽棧』なんて、どうなるんだこれ?と言う始まってすらいなさそうな所で終っており、一部かなぁ…ともやもやしていたら、本編自体も普通に未完らしく、手を出していたら危なかった…。
 あらすじ的にはほとんどの作品、もやもやしたまま流し読み。名作と言われている(らしい)『それから』はもうだからどうした感で心の持って生きようがないし、『晩年』はだらだらと突拍子もなく続くし…。(でも意欲的だなぁとは思った。斬新。)
 そして詩もダメな事に気づく。…ははぁ、文学だけでなく、詩にも反応しないのか、私ったら。
もういい加減、文学コンプは諦めるのがいいな。

 むしろ海外作品の方に目を見張るものが多かったです。
『たんぽぽ娘』が可愛らしくてかつ切ない、でもハッピーエンドと言う素敵な作品でした。
『ふたり物語』はあのル・グィンが書いている恋愛小説ものという事で驚くへぇ…そんなのも書くんだ。

 まぁここまでテーマも統一感もなく色んな作品が読めるのはなかなか面白いものだと思いましたよ。
これ自体が作中に出て来る…と言う意味でも盛り上がりますしね。
こういう短編集があれば今後も積極的に手に取っていきたいです。
雨降りだからミステリーでも勉強しよう

 1950~60年代の欧米のミステリー作品を紹介してくれる本で…ものすごく細かい。翻訳もする人の様ですので、当然原書で読んで、面白いのを日本に紹介…と言う部分もあるようなのですが、それにしては凄まじい量を読んでいる気が…。
 またあっさりと面白くないものは面白くない、この本はこれくらい途中で放置、その本は○ヶ月くらい取り組んでいる、あの本は何回読んだけど全然解らんとか―いやいやいや、文句言いつつ最後まで捨てないし読みこなすのね。
 しかも文章がまるで古くない。これ、1972年刊行なんですけど、てっきり最近の物だと思って読んでた。
これは凄いわ。
 1、2作目がダメでも3作目で化けたとか、作品解説もするだけあって、目を通している幅が広く、その上での批評なので、貶す所も褒める所も完全に自分の物にしてから言葉にしている。
 その上で上記の様に解らんものは解らんと正直なもんで、個人的好みもあろうが自信もって本の良し悪し、点数を付ける。
…ここまで徹底されると、他の意見は出にくかろうなぁ…。
 映画や音楽にも造詣が深く、その豊かな知識の中でとにかく彼の中で比較対象や事例もびしっと把握しているから、あれに似てるこれに似てる、これと比べるならあの作品、点数はこうだけど、そう言えばあの作品と言えば参考になるこんな話が合って…と、大体の章は入れ子細工の様に余談(これまた批評に必要な前知識だったり、別作品の説明だったり)で埋まっている。

 何よりも圧倒されるのはそのあらすじの量。
いや、もうダイジェストでラストまでと言ってもいいくらいに、その作品のあらすじを書いてくれていて、ネタバレ云々と言うより、『あ、そこまで内容ばらして(ほとんど書き切っちゃって)いいんだ…』と呆気にとられます。
まぁ、説明しなきゃ批評も出来ないんだけどさ。
 本人も『この本、あらすじ書いても面白さはそんな所にないんだけど』とか『自分の作品のプロットでもないのに書かなきゃ説明出来ないから数時間もかけて書くんだけど』とか、とにかく批評に対しての下準備が丁寧なのね。
 おかげであらすじを聞いても意味が解らない(味は別の所にある作品)とかあらすじだけでラストまで聞いちゃった(この流れに意味がある作品)とかたくさんあって、情報過多で時に疲れが出る本です。
 へぇ、こんな本があるんだなぁと言う流れになれば上出来なわけですが、果たしてこの本、勉強…と言えば欧米ミステリーの全体的なあらましも語られてますし、本来はその意味の方が強いのかなぁ?
本の紹介本…と銘打ちながら、まるで歴史書の様だもの。(『勉強しよう』、と偽りなし。)
 逆にあっさりと出だしとまとめだけの数行あらすじで紹介された本の方に読みたいと思えるものがいくつも。
やはりその先を知りたい気持ちをくすぐられる紹介が一番かな。
 それでも筆運びやセリフなど、あらすじに関係ない部分を見所として挙げられていると、色んな好みに対応して答えてくれるガイドブックだなと思います。
 ただ実際ニッチすぎて、いくつかメモしたものの、その作品が日本語訳で収録されている本を探し当てる自信はありません。そもそも日本に…渡っている作品なのかすら怪しい…。
まぁ、圧巻の本でした。