![]() | 県庁おもてなし課 (2011/03/29) 有川 浩 商品詳細を見る |
有川節。…だが、燃える要素がなかったなぁ〜。最初が図書館戦争シリーズだったから、その後の職業ものとか演劇ものとか燃え度が段々低くなってきた。
それでいて恋愛濃度はそのままだから、ちょいくどくなりがちに…。
公務員が制度の枠を打ち破って(?)県の観光を推し出して行くぜ!ってタイトルのまんまのストーリーなわけだけど、民間視点、民間視点一本槍で、民間視点ならなんでも成功するもんでもないんじゃないかと思いつつ、まあ勢いはあるので読破した感じ。てっきりなんぞ斬新なこれぞ公務員×民間の思わぬ相乗効果、的な話が読めるのかと思ってたから。(小説的な運びだったとしても。)
うーん、とりあえず読んだと言う感じ。有川さんのは期待値高くなっちゃうから仕方ないかな。
![]() | ちょちょら (2011/03/22) 畠中 恵 商品詳細を見る |
畠中恵。しゃばけシリーズと思いきやまた違う時代もの。
…シリーズ的に惑うようなタイトルはやめて欲しいなり。
まあ若干見飽きた感じもするのですが、主人公の性格はいつも通り。お人好し、これに尽きる。
たまにはびしっとした辛口とか性格の良ろしくない主人公も見てみたいもんだ。(笑)
しかし中盤まではぼーっと状況を眺めておりましたが、そこから一気に主人公の面目躍如。
誰にも真似出来ぬような大それた計画を発案し、成し遂げて行きます。あら…やるわね。
頭の要りそうな解決方法で手腕も良かった。周囲のキャラも良く練られている。
恋愛模様は上手く行かない事の多い畠中型主人公ですが、ご多分にもれずこの作品でもそこら辺は歯痒い感じで。
まあ、時代ものだと自由恋愛ってちょっと…難しいよね。
総じておもしろい一冊でした。
ところでこの人の作品はいつも次が続くかのように終わるのですが、連載になっても良いようにか?それともこれ、続くのかしら…。
![]() | オルゴォル (2010/10/08) 朱川 湊人 商品詳細を見る |
『鏡の偽乙女薄紅雪花紋様』の人?!
…随分文章の感じも、ネタも違うなぁ…。
あちらは幻想的だけど、こちらは現代もので少年の夏の成長物語といった所か。
ただ、それを知って思うのは事前取材をしっかりやってるなって事。
出てくる事柄、舞台の表現が細か過ぎる。
即ち、そこでストーリーが躓くと言う欠点発生。
…うーん…。
なんかね、少年の両親が離婚、母に育てられくさくさしてる所、休みの間に父親の所へ行く。
所がそこでは父親に新しい奥さんと妊娠中の子供が。(知らされていなかった。)
その上その奥さんの友人とひょんな事から旅行する羽目になり―。
とまあそのストーリーは良いんだけど、いちいち出てくる大人たちが説教染みているのは如何なもんか。
途中から、子供向けの『各施設の案内小説』『道徳教材』にしか見えなくなってきた。
なんせ大人たちとの会話は、常に「大人になったら解るけどあーだこーだ」「自分も子供の頃に習いたかったどーのこーの」「日本人として知っておかなくちゃ行けない場所」と、とにかく大人たちのそれぞれの『良識』から来る押しつけの会話ばかり。
酷い事故が起こった場所だとか、戦争の話とか、いや、それは大事な事ですけど、『知るのが当然!』と言う顔で子供に押しつける流れがわからん。一つや二つどころか、少年の旅行中、ずっとそうなんだもん。
世の中大事な事は多いですけど、果たしてその全てを一人の人間が抱きかかえ続けて行くには容量がいっぱいいっぱいじゃないの?
自然を守る人、政治を良くしようとする人、差別問題に取り組む人―皆自分の思う所をそれぞれに一生懸命、全てのジャンルに情熱注ぐわけじゃないでしょ。
なのにここの大人たちは自分の引っかかる部分をあれもこれもと少年に語り、押しつけてくる。
少年も根が真面目だからそれを受け入れて行くんだけど…これ、しんどくなぁい?
それは大事かも知らないけど、僕は知らないよ、と言う少年の気持ちもわかるわ。
少なくとも少年が自分で抱えられるだけの問題を、自分なりに掴む事に異論はない。
でもどう考えても大人たちが勝手なんだよなぁ…その立派な事のスタート地点が。
自分は父親を理解してあげられなくて父親が自殺したから、少年は離婚した父親をわかってやれ。
相手の女の人は何も悪くないんだから少年がこらえて仲良くしてやれ。
自分の知り合いがこの事故で亡くなった。慰霊碑は見ておくべきだ。
―自分の傷を少年に昇華してもらいたがっている大人たちが多すぎる。
大人たちもそう言う傷も自覚しているんだろうけど、大人の側から見た児童小説の仕上がりに感じたなぁ…。
ひとつひとつのテーマはそれで良いんだけど、たった数日の少年との時間の中で、大人がひたすらに良識を振り上げて大人ぶるって流れがね。分けたら良かったのに。主人公を変える、別の時期のお話にする、等。
この説教会話のお陰で、ほとんどの少年と大人の会話が不自然なんだよね…。
『少年がずるい気持ちでとある老人と約束をした事』→『約束を守る』のメインテーマの方だけにブレずに書き上げて欲しかった。
その流れにするのに、このサブテーマ群がどうしても必要なんだろうか。
この人は、取材力とかテーマは凄くしっかりしてるんだけど、お話仕立てにするのがどうも…と言う印象でした。
(主張している良識について反対とかいう問題じゃなく。)小説、お話としての構成としては頂けなかったなぁ…。
でも相当毛色に違うニ作を読んで、この作者さんの色は全く掴めず。
そこは未知数と思ったが、今の所私好みではない…な。
![]() | ユリゴコロ (2011/04/02) 沼田 まほかる 商品詳細を見る |
レズ物…?
とか思っていた私、ごめんなさい。
全然違ったよ。
家族物で、男女物で、ミステリーで、混沌としていたり、単純に愛があったり―何と言うか、深い、です。
このユリゴコロ、幼い『私』、が大人の言った『ヨリドコロ』を聞き違えて覚えてしまい、それを独特の概念を持ってインプットしてしまったと言う単語。
言葉のセンスが凄く良い。感性に響いた。
母親の死後に見つかった手記の様なノートを巡り、謎が生まれます。
そこから過去の殺人を匂わせたり、主人公の出生を疑わせたり、そういうのが肩透かしになっていく、全然別の物語になっていくかと最初は思った。
ところがそれはやっぱりいろんな意味で真実で、でも悲しくて美しいどんでん返しが最後にやってくる―。
そこに絡んでくる人物たちの、誰もがいろんな形の愛を持っていて、奇妙に歪んでいるとしか言えない。でも、確かに愛だとわかる。
ラストのラスト、去っていく『二人』が、現状の言葉では言い表せない関係性の愛のようなもので繋がっていると思えて、それを表す単語が新しく欲しいと思った。それって凄い。
![]() | こちらあみ子 (2011/01/10) 今村 夏子 商品詳細を見る |
微妙な中編二本入り。短編たくさんとか、長編一個とか、そんな感じに思ってたから予想外。
しかし話自体はするっと短い感じに思えた。
実際の文章量はどうなんだろ??
表題と、『ピクニック』の二本ですが、どちらもズレちゃった女が主人公と言う点では同じか。
しかし最後に突きつけられるものが、前者はもうどうしようもなくて、後者がちょっとだけほっこりするのは周囲の人間の違いだな。
イラッとするんです。
両方の主人公とも。いや、まぁまだピクニックの方は救われる愛嬌があるな。
あみ子の方はダメだ。
悪気はないが、このズレた生き方、思考が目をそむけたくなる。
これを深読みして何かを表してるだとか、比喩だとか考えるような高尚な読み方してないんで、文字のままの理解で思う、生理的にダメだ。
あみ子の兄が最後にまで彼女の手を振りほどくかのように空へ投げ捨てた鳥の卵が、むしろスッとする。
これこそがどうしようもないラストの象徴だと思うんだけど、虚しさとか苛立ちとか、虚飾の未来だとか、そんなものが渦巻くシーンでした。
なのでそこ以降、本当のラストシーン数ページはまるで私には伝わらず。私にとってこの作品は、卵を投げ捨てる、で終わって良い作品。
それと対になってるプロローグはいい感じに引き寄せてくれてたんだけど、エピローグ読むともう削っちゃってもいいんじゃないかとか思ってしまった。
あみ子のその後、とか要らない。
『ピクニック』は、周囲の人間が優しすぎて、そっちで読んでしまう。
視線は主人公でなく、周囲の人間。
だからそこまで苛つかなかったのか?
最後の最後に、後輩ちゃんまで混じっていたのが一番のほっとする部分。
うん、まああの毒舌、必要だよね…後輩ちゃん…。
(読者が思うつっこみポイントを的確に…。(笑))
実はジャケ買いした本なんですけど、思いのほか真剣に読んでしまった…。
表紙絵が綺麗です。
中身と全然受ける印象が違うんだけど、このモチーフと言うのも解る気がする、不思議な絵ですよ。




