元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
悪癖の科学 その隠れた効用をめぐる実験

 悪い癖―それらも実は何かに役立ってるんじゃないの?実験、考察してみようぜ!という本。
…変わった事思いつくというか、このテーマだけで何本もやってるのがすごいわ。
例えば酒、セックス、スピード狂、退屈…。
 まぁこじつけに思える部分もあるんだけど、実験はちゃんと実験してて、対象グループの分け方も綿密だし、本来の狙いを隠して被験者を観察していたり、隙だらけ印象操作ありきの調査はしていない。
 私は実験と言えばてっきり、生体の内部物質の反応で、良い悪いを測る様な実験を想像してたわ。行動結果を数で出すんじゃなく、電気反応とか誘引物質とか…。(勿論そういうのもあるけど。)
 大概のものは二面性や適量などというものがあり、それ一つで完全悪だの完全善はないので、ものは考えようという感じか。
酒なんて分かりやすい例だよね。

 テーマが面白そうだったんだけど、実際は言い回しなども含めてそこまで夢中になれずの一冊でした。
なんでそうなの札幌のカラス

 多分素人研究者なのかな?札幌のカラスを観察し続けて数十年という女性の著作。
ああ、カラスは可愛いなぁ、やっぱり。
 長く顔見知りだとカラスも人を覚えて親しみーというかからかいに来るそうですね。
(なお今年巣立ったカラスなのか、頭ぼわぼわで結構近寄っても鈍い一匹に私は朝の挨拶をし続けています。顔を覚えていただきたい。)
それが飛んできて後ろから後頭部に蹴りを入れるという行動なのだそうですが、一般人的には攻撃に見えますね、それ。
実際攻撃も同じ方法なんですが、かるーく蹴るんだそうです。やだ、可愛い。
 その際、カラスからの攻撃避けに両手を挙げる、と書いてあるんですが、なんだか笑えた。
でも良い知識だから覚えておこう。

 それにしてもこの著者さんがこれだけカラスに密着していても、敵対視される時はされるようで、なんか無念…。
まぁ野生のカラスがあんまり人馴れするのも歓迎されたもんじゃないですが、夢見るじゃないですか。動物との触れ合い。
 なお、絵が可愛らしいんですが、私もはもう少しリアルな体型のカラス絵を望みたい所。
イカはしゃべるし,空も飛ぶ 面白いイカ学入門

 流し読みになりましたが、イカだけにスポットをあてた一冊。
こんなにもイカで語ることがあるのか。
 ただ、学習図鑑に近い雰囲気で、近寄りすぎな印象がないためか、淡々と読んじゃいました。
このイカを愛する研究者の影も形も見えない客観的な仕上げが、吉と出るかは読む人によりけりなんだろうな。
 どうやら私は書き手が暴走するくらいに対象物愛を語る専門書(ニッチ)が好きなようです。
パンダの死体はよみがえる

 動物を解剖学の観点から語ります。
面白い。
 象の解体から始まるのですが、まぁあれだけの肉塊を切断するのはもはや肉体労働ですわな。
 しかしパンダの偽の親指から始める骨の考え方は理路整然と面白く、とにかく全部をホルマリン漬けにして後世に残していきたいという熱意が伝わる一冊です。
 研究者魂だなぁと思います。
そんなバカな! 遺伝子と神について

 煽りが『男の浮気は遺伝子のせい云々』的な感じだったので、ちょっとエンタメ的すぎるかなぁと心配だったのですが、結構ちゃんと遺伝子の話でした。
 ただし、面白かったのは今まで遺伝子学を作り上げてきた先人の発見や考え、生き方の説明あたりで、正直現代に当てはめたこの人の説はちょっと…。(解る所もあるが、限定的だったり飛躍的だったり決め付けもあったりで、どうも喉につっかえる。)
 あとこの人の人間を説明する時の物言いが、非常に敵を作りやすいのではないかと。おそらく凄く好きか嫌いかに評価が分かれそう。
中盤がこれで、ラストにもう一度盛り上がりを見せるかな。

 まぁ、他の著作はいいやと思える判定になっちゃいましたが、アリや蜂の独特な遺伝子の伝え方とか、そういうのは興味深かった。
何気に読んで、生物や遺伝子に興味を持ってもらう入り口としては手軽で間口が広い本だと思う。