元モンスター描き。 諸々の感想と近況ブログです。   since2005.05.15
「カタチの不思議」なるほど雑学事典 ドーナツの穴から富士山まで、意外な真相

 色んな形にはいろんな理由がある。と言う形ばかりを集めた雑学なんですが、まぁインダストリアデザインだの、人間工学だのあるから大抵の形には理由があるだろう。自然物も形成されたなりの原因がね。
 そういう意味で知るも知らぬもふむふむと読んでいたのだけど、書き手が複数いるんだろうなぁ、いきなり小芝居で紹介しだしたりするとなんかテンポが悪い。
 で、何が驚いたってこの本、巻末の『参考文献』のほとんどが『雑学本』。
…え、他所の雑学本から雑学引っ張ってきて一冊にしました…って何、それ。それって参考と言うより、もうつぎはぎ編集だよね?やっていい範囲なの??
まだ研究書から抜き出しました、なら解るんだけども…。

 何と言うか他人の褌感で唖然としてしまった一冊。
調べるのも元は何かの本とは言え、なんだかなぁ。
鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

 いや、好きでしょ、この人。
この人もまぁ達者な語り口調で、オタクでマニアな発言も多く、始終冗談を交えたとても良い安く面白い文章。
これで好きなものを語るんだから最強だよね。
最近の学者さんは、本当にこなれてきたよなぁ…。

 さて、この方、フィールドワークの話も面白いがなんせ考察の話が面白い。
例えばキョロちゃん。
 実在したとしたら、目の位置やくちばしの大きさから肉食かどうか、樹上性かどうかなどを調べる。
専門知識溢れる見事な考察で、唸らされたところに―『ってまぁ、実しやかに言ってるけど結局見ないと解んないんだよねー』で落とすあたり。
勿論考察の細部に嘘はない。
生物の体に無駄が無い、効率が良いと言う当たりの話はとても面白く、実に興味深いのです。
 が、リアル・キョロちゃんの姿には衝撃を受けました。
どん。
kyoro.gif


 …怖っ!!!でも南国に居そうで本当にリアルだよっっ!!
 ちなみに体の構造上で言うと、あんなに刺々しいドラゴンなんか、捕食される側の肉体的特徴らしいです。笑った。

 この手の本をもっと読みたいなぁ。気に入りました。
ゾウの時間ネズミの時間 サイズの生物学

 サイズの話をしたので定番のこれを。
そう言えば読んでなかったわー。
で、要約した話はあんなに有名だし、お手軽に読めるシリーズな割に中身は結構専門的だった。

 まず単純に大きい生物は生き残りやすいと言う性質を持っています。
体積の関係で熱を溜めやすいし、エネルギーを失い難い。
 では何故今地球に小さい生物も溢れているかと言うと、彼らの方は成長が早い分、どんどん代替わりをして種を繋ぐ意味で生き続けるんですな。
 あとこっちの方が環境の変化には進化や変異を生みやすく強い。(大きいのは突発的環境変化に対応出来ず滅びる可能性が高い。恐竜なんかの話だなぁ。)
 これにより、個体が長生き、種族が長生きと言う大小両方の生物が地球には溢れると言うわけです。成程。
実際今の地球がそうなんだから、納得がいく。
 なお人間は勿論大きいサイズの生物グループで、寿命が長い分経験を積み、知能を発達させると言う進化で来ているわけですね。

 そしてどんどんと細胞の話になって行くんですが、これが面白い!
こういうのを学生時代、生物の話で聞いていればもっともっと細胞の辺りの話が丸覚えでなく、成り立ちが納得出来たと言うめちゃくちゃ面白い話ばかり!
生物と植物の細胞が何故違うか、何故植物は動かないか、細胞のサイズの理由…etc。
何度でもいう、めちゃくちゃ面白い!!
 そもそもミクロの世界だと、一定の大きさ(小ささと言った方が良いか)までは浸透の関係で勝手に栄養分が集まって来る。でもそれじゃあそうそう大きくなれない。
 で、大きくなる方法として、細胞はまず本来運搬すべき体の設計図・核を、遠くて伝えられなければ皆がコピーを持っていればいいんじゃね?と各細胞にひとつずつ核を持たせた。(!)
そしてひたすら細胞を増やしていく。
 細胞の積み重ね方自体も工夫され、骨を作り出し体を支えるのはそっちに任せるタイプの『動ける』動物と、自らが体を支える事も兼ねるレンガ作りタイプの『動けない』植物に分かれる。(!!)
植物が簡単に動けないのは、そのセルロースで出来た体に骨の様な関節が無いからなんだねぇ…。
細胞自体を液胞で大きくしたり、凄い話だわ。

 で、そこからこの構成の生き物だと最大サイズはここまで、と言う計算をしてみるとどんどん、実際に発見される最大サイズの生物とピタリと計算が合う。うわぁぁ~。(ミミズの太さとか。)
 神か…この人(学問)、神か―と言うくらい、学問が解明されている様子はどんな分野でも素晴らしい。多分数学なんかで美しさに魅了されるとか、こういう『公式』を知った瞬間なんだろうなぁ…。

 単純にこのタイトル、生物の心臓が脈打つ回数だけの話で有名だけど、こんなに面白い本だとは思わなかった。
今更だけどお薦め過ぎる良書です。
身長の神話

 大きい、小さい。(いや、高い低いだが。)

 巨人や小人の神話についての本。(と言うか違うな、身長に対する人間の幻想と言うか観念。)
ただ身長と聞くと、身近に誰かが小さいとか自分がでかいとかでちょっと興味引くな。
そういう本は珍しかったのでチョイス。

 まず見出し。『誰もが一度は身長がもっと欲しいと云々』の部分。いや、そんな事はないが?(何故言い切るんだこの本は。)
むしろ論法としては、『人の世に、場所に時代に変化する平均を逸脱すると異常とされる体の大きさ。その平均から離れすぎないようにする努力がされてきた』と言う形なのだから、『高けりゃいい』って書き方しないのが流れに沿ってないか。
 しかし同じ見出しの編集が作った図解は面白かった。
古代から今までの人々の姿形の大きさと、どのサイズが力を持っていたかの一覧。
 え…そう言われてみれば聞いた事ある説だけど、聖書の最初の人間あたりって、数十mとか、巨人だったんだ??(なんかどこの神話でも最初巨大なのが居て、今の神になり替わってる話、多いよね。)
 で、その頃は大きい方が強かった。
それが人間サイズの英雄が強くなり、大きいのは化け物扱い、小さいのは妖精だとか、弱小な物。
もう本当に、時代によりバラバラ。
はぁ~、こういう見方、なんか新鮮。

 中身としては実際に私たちの現実世界の中では小人の方が多いので、その話が多いのだけど、遺伝だの疾病だので上手く成長できなかった小人症の人たちの歴史がつらつらと。
 嫌な話、物としての売り買い、さらにはわざと小人を作るんだってね…。それこそ箱に入れて成長を抑えたり。
それらの小人は道化や特別な従者、愛玩用として王や貴族たちに支配されていた。
うーん…。
 そして当時はその生体的メカニズムが解明されてないから、同じ人間としてではなく、違う種類の、或いは不完全の人間とされていた。(極端な話、女は男の不完全な状態とされていたわけで。)
 反対に大きい方は、昔は単純に大きい古い神々が居たので、そこからどんどん小さくなる人間の存在を嘆く事が多いのか、ろくに数値も取れないなりに『人間の大きさはどんどん小さくなる』と言う風潮が一般的だったようです。
実際は大きくなってきているわけですが。
 特に群を抜いて例外的な日本の話が出されていて、戦後一気に恐ろしく平均身長が伸びたと言う説明がされていました。
単純に食生活が変わったからだよねぇ。(しかし米と魚料理が貧しいとか書かれていて、なんで食べ物に優越性を付けるのかわからん。その事自体、著者は『大きくなる』食事に囚われてないか?『戦後の指導により』って書き方も、正誤を決めつけているようでおかしな話だと思った。)
 まぁ大きい事は良い事だ、の考えは確かに多いもので、どこぞの国の将校は、デカい女を見つけたら、必ず自分の兵たちと結婚させてじわじわと子孫の巨大化を謀っていたそうです。気が長いな。
 なお巨大になってしまうタイプの疾病については特に書かれていないのだけど、骨を伸ばして大きくする方法とかは書かれていました。そして平均が一番、と言うベッドにピッタリの人間を作ろうとする犯罪者の話とか。(長けりゃ切るし、短けりゃ伸ばすと言うおとぎ話の様なシチュエーション。怖い。)

 と言うわけで読む程に『平均から逸脱することを恐れている』論法は、著者から滲み出る『とは言え大きいのは良いよね』的な筆運びのせいでなんとも言えないふんわりしたお話に。
 一応巨人は強く愚か、小人は狡賢いとか、一長一短の話に大体の世界的平均観念は取れてるもんなんだなぁと思えはするのですが。ウドの大木とはよく言ったもんだよなぁ…。(なお、神々が太古の支配者である巨人を倒す事に付いては何のタブーでもないらしく、カオスと秩序の戦いであるらしい。巨人は世界を創れても、統治する能力がないって話だそうな。)

 この本、調べものの数ときたらかなりの量なんで序盤はともかく、終盤へ行くにつれちょっと専門的な話が多くなっていきます。
うーん、色んな意味でバランスが取辛い本かな。
それを除けば題材といい面白い本。
 なお、一番面白かったのは、『骨が大きくなるのは、大きくなる物質が止まるのではなく、もうこれ以上大きくならなくていいよと言うブレーキが入る事によって止まる』ってやつでした。なるほど、伸ばそうと言う伝達物質など最初からないのね。勝手に伸びるんだ~。むしろ止める伝達物質があるだなんて、目から鱗でした!(何故か日本では放っておくと植物が侵略してくるから、手入れと言うと伐採する事、砂漠じゃ逆とか言う話を思い出したわ。)
 で、何がブレーキを掛けるかと言うと、思春期頃の性的成熟で徐々に止まるらしい。
そこまでにどれだけ大きくなってるか、って事だね。
身長を伸ばしたい人にはシビアな話だなぁ。
日本人の鳴き声

 鳴き声って所が良いよね。日本と鳴き声と言えば思いつくのが虫の声の脳の処理の仕方。日本人と外国人は虫の声を音として処理するか、声として処理するかが違っていて、右脳と左脳に分かれるってやつ。
 割とガラパゴス化しちゃってる日本人の声に付いて掘り下げます。

 この本によると、日本人は西洋の頭声に対して、喉声で喋っているらしい。関西人は特に。
へぇ…。
 更に倍音を通じてホーミーの話になるんだけど、ここら辺は聴く耳持ってないと実際に聴いても判別しにくいな。難しいや。
 しかし一人の人間が二つの声を出す―ってやつは不思議な事にお経(声明)だと割と簡単に真似する事が出来た。あー、こういう事か。喉で唸りつつ、口内で発音ね。
 お経聴いてると本当に響きが凄い、勿論あそこまで発声は出来ないけど、理屈は掴めた。
声って言うより片方は音だね。
 しかしながらホーミーの方はそもそもその音の様な声自体が単音でも出せない。ありゃ訳が分からんわ。
 他、どうも鼻音も含めて三種類の声を出すとかもあるみたい。アカペラ、ボイスパーカッションの人らはどうなってるんだろうか??

 で、この人葛生千夏さんのプロデュースやら、ザバダックだの、例に出てくる人がドンピシャ私の好きな辺りで、果てはヒカシューまで。…あー、確かに、あの人らの声、響きまくるもんね。発音が違う。
これを意識してやってない『声の良い人』は日本中に居るとの事。
 他にも声はそれ自体エロいとか、カラオケの流行る理由、西洋は複数人合唱・日本は一人合唱とか、他声の魅力について。
 近年、声優ファンが多いのも頷けるわぁと一人ごちたが、残念ながら歌の話だけなので声優の話はない。
しかし興味深い一冊でしたよ。